Liar4 ページ30
「朝食のお礼に夕食をごちそうさせていただけませんか？」
車を走らせながら先輩が言う。
「ありがとうございます。でも、明日の朝ごはんもきちんと食べてくださいね」
「それは明日の朝ごはんもAさんに作ってもらえるって解釈で構いませんか？」
涼しい顔をしてなんてこというのかしら。
「――パンはコンビニでも購入できますよ？この時間ならスーパーも開いています」
「なるほど。買えなかったことにして押しかけます」
「だめです、先輩顔色良くないですよ？きちんと寝てないんじゃないですか？私の家に来る時間があるなら寝てください。まあ、私も昨日寝不足で、うっかりポアロで少しだけ寝ちゃいましたけど……」
「そんなに私のことが心配なら、うちに泊まります？」
私は思わず運転中の先輩を見上げる。
相変わらず、優しい笑みの奥に潜む感情は読めない。
「それは、お互いに困ることになりませんか？」
「――どういう意味でしょう」
先輩は涼しい表情を崩さない。
「先輩は首元を私にさらさなければならなくなりますよ。
こんなに暑い日でもそのタイプの服を着続けるということは、きっと何かあるんですよね？
私だって、さすがにこんな暑い夜に長袖シャツで過ごすのは嫌です。
――お互い、隠し事があるのに相手の家に泊まるなんて無理だと思いませんか？」
先輩はふわりと笑った。
「それは、2人の関係をもう一歩深めたいという愛の告白と捉えていいんですよね」
車を駐車場に止めた後、先輩は艶っぽい笑みを見せる。
どんな曲解！
「――そんなわけないじゃないですか！
先輩ってもしかして、部屋着もパジャマも全部首元詰まってます？ さすがにそんなことないですよね？」
「ええ、そんなことはないですね。
私の彼女になっていただけるなら、いつでも秘密は開示しますよ？」
先輩の指が服の上から自分の首をなぞるので、ドキッとした。
その指を、しい、と唇の前に立てる。
「恋人には全部知っておいてもらいたい派です」
耳元で甘くささやかれた言葉で、無駄に体温が上昇していく。
ぼーっとしていたので、つい、促されるままに車から降りた。
「さて、参りましょうか？」
「どこに？」
「もちろん、ポアロに」
――私はあえて喫茶店という言葉を避けていたのに、先輩がまさか『安室さん』という名前だけでポアロに行きつくなんて思ってもみなくて、言葉を失った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 346人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まつり(プロフ) - byate959さん» リクエスト、ありがとうございます。本編（沖矢さんルート）終了後、番外編で分岐点までさかのぼり、安室さんルート書ければと思っていますー！まずは本編頑張りますね。 (2022年6月15日 10時) (
レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
byate959(プロフ) - 沖矢さんルートが終わったら、どこかのタイミングで安室さんルートが読みたいです。どちらのルートもありで (2022年6月15日 9時) (レス) @page38 id: 8b6f74a7e0 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - ゆうらさん» 応援ありがとうございます！沖矢さんルートで書きますね。更新、頑張ります。 (2022年6月14日 11時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - ぽむさん» ありがとうございます！今回は沖矢さんルートで書かせていただきます！ (2022年6月14日 11時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - 黒杏さん» はじめまして。気に入っていただいて本当に嬉しいです。沖矢さんルートで書きますね！ (2022年6月14日 11時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まつり
| 作成日時：2022年6月8日 8時
