アドベントカレンダーと安室さんと私

3日目 ページ4

夕方、仕事でトラブルが起きた。1番に頭に浮かんだのが「今日はポアロに寄れないな」という一抹の寂しさだったのだからどうかしている。

気持ちを落ち着けるためにも私は安室さんに電話をかけた。

「トラブルですか？大変ですね。こちらのことは気にせず、頑張ってくださいね」

優しい声を聞くだけでこんなにも元気になれるなんて！
結局21時過ぎてようやく退社できた。

「お疲れ様です」と声をかけられてびっくりする。

「安室さん？」
カジュアル目なPコートがとてもよく似合っているけど、ね、こんな夜中にどうしてここに？

「近くに所用があったんですよ。

　まさかこんなところでAさんに出会えるなんて思っていませんでした。こんなことなら、チョコレートを持ってくればよかったですね」って笑っているけど。

本当はあえて待っていてくれたんじゃないのかなって、勘繰ってしまう。

でも、まさかね。
安室さんに何のメリットもない。

「あの、夕食まだなら一緒にどうですか？すっかりお腹すいちゃって」

「いいですね。喜んでご一緒しますよ」

遠くのレストランを探す気力もなく、近くのファミレスに入ったけど、安室さんと一緒に食べる夕食は、1人で食べるよりもずっと美味しくてすごく楽しかった。

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