14日目 ページ13
あれから結局、安室さんには何も聞き出せないまま時間が過ぎていた。
私は相変わらずポアロに行ってコーヒーを飲み、こっそりチョコレートを受け取る。
安室さんも前と変わらず、にこやかにチョコレートを振舞ってくれる。
いろんな形状の美味しいチョコレートを私は口にする。
そんな日々が数日間和やかに過ぎて行った。
「ねぇ、あなた、今日もポアロに行くつもり？」と、見知らぬ女性に声をかけられるまでは。
「あ……えっと……」
年のころは私とそう変わらない。いやもっと、若いだろうか。
濃い目のメイクが彼女の実年齢をわからなくさせていた。
派手な衣装に巻いた髪。
ハイヒールを履いているせいか、身長は彼女の方がかなり高かった。
「――あなたなんて彼のこと、何も知らないくせに」
図々しいのよ、と、強い言葉が突きつけられて驚いた。
脳裏にあのスーツ姿が過る。結局あれがなんだったのか聞き出す事すらままならない。
そう、私は安室さんのことを確かに何も知らない。
どうして毎日私にチョコレートをくれるのかってことも。
「ええと、あなたは？ 安室さんの何を知っているの？」
「色々と知っているわよ。ねえ、詳しく知りたい？ 彼のこと」
「いや、でも――」
隠したいと思っている秘密を無理やり暴くようなことがしたいわけじゃない。
そもそも、ただの店員と客っていう関係でしかないのに、それ以上踏み込むのは失礼だと思う。
「本人が隠したいならそれでいいと思ってて」
「――何それ、いい子過ぎてつまんない答え」
不意に女性の声と口調ががらりと変わった。
「冒険に出かけなくっちゃ、宝だって手に入らないわ。そうでしょう？」
彼女は優雅にそう言いながら、とても慣れた手つきで私の肩に手をかけてきた。
え、逃げなきゃ――と思った瞬間、びりびりとした衝撃を感じ、目の前が真っ暗になった。
続く (更新停止中)
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まつり(プロフ) - みらい@ﾏｻｲさん» コメントありがとうございます。クリスマスまでに書き上げる予定がすっかり遅刻ですが……。せっかくなのでラストまで頑張りますね〜 (1月11日 14時) (
レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
みらい@ﾏｻｲ(プロフ) - お初です！ランキングから気になるタイトルだったので見に来た所存です← リアルな展開も混じり続きがすげぇ気になります…ｯ！主様のペースで頑張ってください！ (1月11日 11時) (レス) id: 98691296bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつり
| 作成日時：2023年12月18日 16時
