アドベントカレンダーと安室さんと私

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「Aさんって、苦手なことなさそうですよね。何でもそつなくこなしそう」

仕事終わりのある日、息抜きに寄ったポアロで美形店員の安室さんがそんなことを言った。

「そんなことないですよ。ほら、毎年この時期に流行るなんとかカレンダーがあるじゃないですか？1日1つずつめくるあれ。あれがすごく苦手なんですよね」

「アドベントカレンダーですか？」

さすが安室さん、何でも知っている。

「そんな名前でしたっけ？ とにかく、あれ1日で全部めくりたくなるんです。毎日コツコツっていうのが苦手で」

そんな話をしたのは、確か11月終わりの頃だった。

「でしたら毎日仕事帰りにこちらに寄っていってくださいよ。僕でよければ協力しますよ」

甘い笑顔を浮かべる彼は、なんて商売上手なんだろう……。

まあ、仕事帰りにどこかのカフェに寄るのは私のクセみたいなものだった。それが12月の間だけ毎回ポアロになるのも、それはそれでいっかな、と、私は軽い気持ちで了承した。

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