229グラム ページ40
月曜日、「以前預けていたソフトに不具合があった」という理由で、私は零と一緒に公安に出向くことに成功した。
以前FBIと合同捜査で利用していた事務所からは手を引いているので、本庁のある場所に行くほかない。
「零に迷惑かけることになるからタイミングをずらして行ってもいいよ?」と殊勝なことを言ってみたのだけれど
「どうせ潜入捜査中で色眼鏡で見られている身だ。
気にしなくていい。
別々のルートで行ってAに万が一のことがあったらどうするんだ?」
なんて言われて驚いた。
潜入中は私のことなんて放っているくせに、傍に居る時は極端に過保護になる。
くすぐったくて、気恥ずかしいのに嬉しくて、頬が緩む。
零は私の表情の変化に目ざとく気づいたようで
「お揃いのお弁当だ」と安室透の如く柔らかい声で言って、家を出る前にキスまでしてくれた。
ちょっと、新婚気分になっちゃうくらいにふわふわと心が舞い上がる。
一方で、公安についてしまえば彼の空気は一変して近づきづらいものになるから、すごい。
どっちが本当の降谷零なんだろうか。
私にはわからない。
もしかしたら、零自身にもわからないのかもしれない。
公安では部署ごとに縛りがあって全て自由に動けるというわけではない。
そもそも、現在組織に潜入中の「降谷零」の存在は秘匿扱いに近いので、私は風見さんと一緒にくだんのソフトの回収に向かった。
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まつり(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます!あれもこれも書きたくてなかなか完結しないのですが、のんびり読んでいただけると嬉しいです。 (12月11日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています!大変だと思いますがご自身のペースで続けて欲しいです!まつりさんの作るシーリーズ大好きです!!これからも頑張って下さい!応援しております。 (12月11日 18時) (レス) @page1 id: 933da0752b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年6月15日 16時