検索窓
今日:20 hit、昨日:53 hit、合計:23,920 hit

225グラム ページ36

「……これから? うちに?
 いや、別に構わんが……」

零に夕食を任せて、ツリーの飾りつけをしていたら、シュウに電話がかかってきた。
彼は電話片手に自室に入っていく。

「悪い、FBIの打ち合わせが入った」

次に部屋から出てきた彼はすっかり沖矢昴だった。

「そっか、わかった。明日、私零に公安に連れてってもらいたいって思ってたし」

「だったら、今夜帰ってこれなくてもいい?」

ぞわりと嫌な予感がした。
私の表情の変化に気づいた昴さんは、キッチンに目を向けそっと私の耳元に唇を寄せた。

さっきまで吸っていた煙草の香りがふわりと漂ってきて、やっぱり彼は赤井秀一なんだと私を安堵させた。

「本当の打ち合わせ相手はキッド君だ。
 彼との関係を零君に知られるわけにはいかんだろ?」

不安を払しょくした後、当たり前みたいな流れでキスするから、ついつられて目を閉じて応じてしまう。
ずるい。

柔らかくて甘くて、少しだけ煙草の苦みがするキスは、シュウの時となんら変わりはなかった。

「――気を付けて」

「ああ。君も。
 もしも零君に仕事が入って君が1人になるようならすぐに戻ってくるから、いつでも連絡して」

じゃ、と言うとかちりと首のスイッチを入れ、彼は完璧に沖矢昴になり

「安室さん、後はよろしくお願いしますね」

なんて、キッチンの零に声をかけた。

「ええ任せて……って、そこは普通に話せよ、FBI!」などと、零が答えているのを見る私の口角は自然に上がるのだった。

226グラム→←224グラム



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
141人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まつり(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます!あれもこれも書きたくてなかなか完結しないのですが、のんびり読んでいただけると嬉しいです。 (12月11日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています!大変だと思いますがご自身のペースで続けて欲しいです!まつりさんの作るシーリーズ大好きです!!これからも頑張って下さい!応援しております。 (12月11日 18時) (レス) @page1 id: 933da0752b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まつり | 作成日時:2023年6月15日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。