225グラム ページ36
「……これから? うちに?
いや、別に構わんが……」
零に夕食を任せて、ツリーの飾りつけをしていたら、シュウに電話がかかってきた。
彼は電話片手に自室に入っていく。
「悪い、FBIの打ち合わせが入った」
次に部屋から出てきた彼はすっかり沖矢昴だった。
「そっか、わかった。明日、私零に公安に連れてってもらいたいって思ってたし」
「だったら、今夜帰ってこれなくてもいい?」
ぞわりと嫌な予感がした。
私の表情の変化に気づいた昴さんは、キッチンに目を向けそっと私の耳元に唇を寄せた。
さっきまで吸っていた煙草の香りがふわりと漂ってきて、やっぱり彼は赤井秀一なんだと私を安堵させた。
「本当の打ち合わせ相手はキッド君だ。
彼との関係を零君に知られるわけにはいかんだろ?」
不安を払しょくした後、当たり前みたいな流れでキスするから、ついつられて目を閉じて応じてしまう。
ずるい。
柔らかくて甘くて、少しだけ煙草の苦みがするキスは、シュウの時となんら変わりはなかった。
「――気を付けて」
「ああ。君も。
もしも零君に仕事が入って君が1人になるようならすぐに戻ってくるから、いつでも連絡して」
じゃ、と言うとかちりと首のスイッチを入れ、彼は完璧に沖矢昴になり
「安室さん、後はよろしくお願いしますね」
なんて、キッチンの零に声をかけた。
「ええ任せて……って、そこは普通に話せよ、FBI!」などと、零が答えているのを見る私の口角は自然に上がるのだった。
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まつり(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます!あれもこれも書きたくてなかなか完結しないのですが、のんびり読んでいただけると嬉しいです。 (12月11日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています!大変だと思いますがご自身のペースで続けて欲しいです!まつりさんの作るシーリーズ大好きです!!これからも頑張って下さい!応援しております。 (12月11日 18時) (レス) @page1 id: 933da0752b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年6月15日 16時