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193グラム ページ4

「ほら、零君の同意も取れた」

そう言うとシュウはダイニングからリビングへと移り、私の隣――つまり、零のすぐ隣に座る。

「あのね――」

「君が彼女で居てくれるなら、今日みたいに【沖矢昴と付き合っている】と主張する女性が君に絡んで困らせることもない」

「どこにでも現れるね、そう言う人」と、零が言う。大丈夫だった? ケガしてない? って心配そうに言うから――そういえば、私が零と付き合うずっと前、それでも土日はポアロの常連だったので、――「私安室透と付き合ってるの」って女性が現れたときのことを思い出した。

素直にそれを信じた私は、「いつも安室さんにはお世話になっています」て挨拶したら、何故か突然逆上した彼女に、コーヒー頭からかけられそうになったんだよね……。

いや、もちろん零が慌てて駆けつけて止めてくれて彼女に説教したから、私は火傷もしてないんだけど。

そんな懐かしい話をすると、シュウは本当に心配そうに表情を歪めて、零にもたれている私の顎を持ち上げて唇を重ね、私の額以外に本当にケガはないのか確かめるように覗き込んだ。

必然的に零とシュウの距離も近くなるのに、そういうのは全然気にしないよね。不思議。

私は片手を零の肩から離してシュウの頬に触れる。

「どうして教えてくれなかった」

「すごく前のことだから忘れてた。そもそもその時は零とこんな関係じゃなかったし、男友達の彼女が切れるってよくあることじゃん? シュウだって恋愛絡みのトラブル、少なくはないでしょ?」

「そんなものはない」

シュウはきっぱり言い切るけど、自覚がないだけだと思うので、突き詰めるのは辞めておいた。

「あれはどちらかと言うと犯罪の類だ。ストーカーに気づかなかった僕のミスだよ。あれからは色々と対策を整えているから君に迷惑をかけたことはないと思うが――」

「うん、あれからはないよ。大丈夫。
 それに今はあのころと違って空手だって習ってるし、拳銃も撃てるわ」

もちろん、週に一度通っているくらいでは、蘭ちゃんの腕には程遠いのだけれど。

「銃は持っていなければ意味がない。かといって君に常備させるわけにもいかない」

本当は僕がずっと傍に居たいんだけどね、と、零は切なそうに微笑を浮かべて少なくとも今夜はずっと傍に居るから安心しておやすみ、と甘い声で囁いた。

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まつり(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます!あれもこれも書きたくてなかなか完結しないのですが、のんびり読んでいただけると嬉しいです。 (12月11日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています!大変だと思いますがご自身のペースで続けて欲しいです!まつりさんの作るシーリーズ大好きです!!これからも頑張って下さい!応援しております。 (12月11日 18時) (レス) @page1 id: 933da0752b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつり | 作成日時:2023年6月15日 16時

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