217グラム ページ28
その夜、私とシュウはシチューとステーキを食べていた。
ステーキを思い通りの焼き加減で焼くのはとても難しく、一枚はレアだし、二枚目は火を通し過ぎて硬くなった。
零なら絶対に一番おいしい焼き加減で焼いてくれるし、きっと美味しいデザートだってつけてくれる。生ハムを使ったサラダとか、ちょっとした添え物とか、手間も惜しまずに目にも口にも美味しい料理をサクッと作ってくれるのだ。
――会いたい。
「ねぇ、いつになったら零帰ってくるのかな。零の料理が食べたいよね?」
私がそう言ったのは、シュウの説教が長すぎるからだ。――自分がキッド君の正体を私に隠していたくせに。
「知りたいなら本人に確認してみればいい。全く連絡が取れないわけじゃないだろう?」
「そうだけど」
組織の仕事中の彼に連絡するのはあんまり良くない気がして――。
「君からの連絡なら、いつでも大歓迎だ。零君だってそうだろう? それに、都合が悪ければ電源事切っていると思うがな。彼には隙が無い」
心配せずにかけてみるといい、とシュウは言う。
夕食を終えた私はベランダに煙草を吸いに行ったシュウを、あったかい室内から眺めつつスマホを手に取った。
「もしもし」
電話の向こうに聞こえてきたのは、零の声ではなく――風見さんのものだった。
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まつり(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます!あれもこれも書きたくてなかなか完結しないのですが、のんびり読んでいただけると嬉しいです。 (12月11日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています!大変だと思いますがご自身のペースで続けて欲しいです!まつりさんの作るシーリーズ大好きです!!これからも頑張って下さい!応援しております。 (12月11日 18時) (レス) @page1 id: 933da0752b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年6月15日 16時