215グラム ページ26
「……本当に……?」
変装したキッド君が注文したパフェをつつきながらも私はどうにも釈然としなかった。
別人過ぎる。
「ああ、本当そういう顔大好き。
誰かを驚かせるのが生きがいなのね。でも、私はあの日にあなたの正体を教えたつもりだったのよ? 秘密の多いあの男を一緒に問い詰めに行きましょう。そして、私の仕事を勝ち取らなきゃ!」
と、キッド君は俄然張り切っていた。
「仕事――既にしてるんだよね?」
私がここに来たのは全くの予定外だ。
高校生である彼がここに泊っているのなら、それは何かの調査だと考えるのが自然だ。
「今やっているのは、ただの下調べ。
私が求めているのは表舞台に決まってるでしょ?おにーさんから下調べまでやめろとは言われていないわ」
ふふん、と強気な態度で笑う口元は、品の良い赤系のルージュで覆われてはいるものの、確かにキッド君の面影がある。
どうして今まで全く気が付かなかったんだろう。
「卒業できなくなったら困るんじゃないの?」
「そういう素人みたいな失敗はしないわよ。抜け道なんてそこら中にたくさんあるのよ」
いともたやすく笑ってのけるキッド君は、私の知らない世界をきっとたくさん見てきたんだろう、と直感的に思う。
「それなのに、おにーさんの頼みは聞いちゃうんだ」
シュウが四六時中キッド君を見張っているわけじゃない。
「さすがに、命まではかけらんねーだろ? オレの後継者なんてまだいねーし」
不意にぽつりと、カイト君が自分の口調と声でそう言った。
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まつり(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます!あれもこれも書きたくてなかなか完結しないのですが、のんびり読んでいただけると嬉しいです。 (12月11日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています!大変だと思いますがご自身のペースで続けて欲しいです!まつりさんの作るシーリーズ大好きです!!これからも頑張って下さい!応援しております。 (12月11日 18時) (レス) @page1 id: 933da0752b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年6月15日 16時