208グラム ページ19
一次会は楽しく盛り上がってお開きになった。
「ねぇ、Aって金髪の彼と別れて沖矢さんに乗り換えたって本当？ この前仲直りできたんじゃないの……？」
ユカちゃんが、店の前で昴さんを待っている私に声をかけてきた。二次会に行かないのかそれともあとで追いかけるのか……
「うん……なんていうか、その」
どう伝えたらいいんだろうか。本当のことを言うにしてもハードルが高いし、簡単に嘘はつきたくない。
「微妙な関係なんです、察してください」
いつからそこにいたんだろうか、足音も立てずにやってきた昴さんがそう言ってにっこり笑う。
「び……微妙って！もしかして、Aちゃんのこと困らせてるんですか？それなら私黙ってないですよ？」
私ですら驚くような剣幕だった。
「大丈夫ですよ、困らせるようなことはしていません」
「本当に？――やっと(名前ちゃん)が落ち着いてきたのに困らせるようなことに引きずり込むなら私は容赦しませんよ」
「大丈夫だよ、ユカちゃん？」
慌てて口を挟んだのは私だ。
「大丈夫じゃないよ――私、本気で心配してるんだよ？」
「うん……ありがとう。すごく嬉しい。わかってる」
君は1人じゃない、と、私は何人に言われれば気が済むんだろうか。
「やっとAちゃんが最近、自分を大切にし始めたと思ったのに――」
なんて呟いて初めて私は、それまでユカちゃんが私のことをどれほど心配していたのか思い知った。
別に自分を粗末にしていたつもりはなくて、ただただ淋しさを埋めたかった結果なんだけど――。
はたからはそう見えていたということなんだろうか。
なんか、ごめん、と申し訳なくなってくる。
「大丈夫ですよ、彼女はきちんと自分を大切にしています」
「――そうですよね、言いすぎました。酔った勢いです忘れてください」
ユカちゃんが言葉を止めたのは、彼氏の車が近くに止まったからだ。
「ユカちゃん……。心配かけてごめん」
「ううん、余計なこと言ってごめんね。大丈夫だったらそれでいいんだ」
じゃあねと帰っていくユカちゃんにかける言葉が見つからなかった。
立ち尽くす私の手を昴さんが握る。
「すっかり冷えましたね、帰りましょう」
促されるままに、私は彼の車に乗り込んだ。
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まつり(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます！あれもこれも書きたくてなかなか完結しないのですが、のんびり読んでいただけると嬉しいです。 (12月11日 21時) (
レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています！大変だと思いますがご自身のペースで続けて欲しいです！まつりさんの作るシーリーズ大好きです！！これからも頑張って下さい！応援しております。 (12月11日 18時) (レス) @page1 id: 933da0752b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつり
| 作成日時：2023年6月15日 16時
