恋人の愛はけっこう重たい5【愛され/逆ハー】

206グラム ページ17

【ASide】

今日はみんな疲れていて頭が回らないから実質オフにすると言われたので、会社に顔を出すことにする。

もう少し調べたいことがあるという昴さんをホテルに置いて、いったん帰宅して着替えた後で会社に行った。

零が昨夜自宅に立ち寄った形跡がなくてホッとする。
いや、別にいいんだけど……「シュウと2人でホテルに泊まった」って言ったら絶対不機嫌になるよね？ 別にやましいことしてないんだけど……そう言う風には受け止めてくれないと思うし。(もっとも、仮にやましくても問題はないよね。そう言う関係なんだし)

受付の田中さんは今日も元気で、「金曜日の夕方、店とメンバーはこちらです。先方の連絡先教えてもらったら私から連絡しますけど？」とノリノリだ。

私は早速松下君にメールを送った。急な予定だけど、前もってスケジュールを組んだところで仕事柄、無理な場合は無理だから、変わらないよね。

しばらくここに顔を出す頻度も減るかと思うとなんとなく淋しい。私は可能な限り仕事を引き継ぐべく作業に入った。

【赤井Side】

俺はAを送り出すと、ホテルの監視カメラをハッキングする。過去の映像を遡るが、キッド扮した女性は映っていても、その視線の先に誰がいるのかはっきり確認するのは難しかった。

防犯にさほど力を入れていないこのホテルは、監視カメラの届く範囲も狭い。
知っていれば確実に避けることができる。

だからこそ、うち(FBI)も今利用しているのだが――。

表立った仕事をさせなくとも、こんな危険なことに手を出しているのだ。

彼を救うためにも、希望通り仕事をさせるしかないのだろうか。

――まずは誰を追っているか確認してからだな。

俺はほぼ無意識に、煙草に火をつけため息代わりに紫煙を吐き出していた。

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