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205グラム ページ16

【赤井Side】

やはり、Aの知り合いなのだろうか。
くだんの女性は俺が席を外した後ですくっと立ち上がった。親し気にAに話しかけた後、背を叩きレストランから出ていく。

席に戻って、「ただいま」と彼女の背に同じように手を回して声をかければ、その後ろに名刺大のカードが貼ってあるのが確認できた。
怪盗キッドのものだ。

キッドマーク以外何も書いていない所を見るとどうやら彼もさほど余裕がないようだ。

「やっぱりあなたの知り合いだったでしょう?」

そう言うと、Aは首を傾げ「え……今の人誰だっけ……?」という。

キッドはこの場では名乗らなかったのか。
カードを彼女に見せるかどうか悩んだが、とりあえずしまっておいた。

あれほど、アピールの強いキッドが即名乗らないのには何か理由があるに違いない。

「昴さんの知り合いでしょ? 年内にやりたい仕事があるからもう待てないって伝えておいてって伝言を受けたけど?」

「なるほど……だったら直接私に言えばいいものを」

「喧嘩になるから嫌なんじゃないの? 妬けちゃうって言ってたし――どんな関係か知らないけど、浮気なら見えない所でやって」

とAは拗ねた口調で言って淹れたてのコーヒーを飲み、あちっと顔をしかめる。

どんな表情も躊躇いもなく見せてくれるほど心を赦してくれたことが嬉しいし、「沖矢昴」に対する独占欲を隠さなくなってきたことが愛しくて、口元がほころぶ。

「浮気だなんて考えたこともないな。君のことしか見ていないよ――信じて」

手を伸ばし、特に汚れているわけでもない彼女の口元をそっと親指で拭う。

頬を赤らめるのも困った顔でこちらを見るのも、俺一人の特権だったらどれほどいいことか。

君にも俺のことだけを見て欲しい。なんて、口にしたところでAを困らせるだけの願望は心の奥深くに飲み込んだ。

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まつり(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます!あれもこれも書きたくてなかなか完結しないのですが、のんびり読んでいただけると嬉しいです。 (12月11日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています!大変だと思いますがご自身のペースで続けて欲しいです!まつりさんの作るシーリーズ大好きです!!これからも頑張って下さい!応援しております。 (12月11日 18時) (レス) @page1 id: 933da0752b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつり | 作成日時:2023年6月15日 16時

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