204グラム ページ15
平日の朝、少しだけ遅い時間帯だったのでモーニングは比較的空いていた。
最近、零のお陰で朝食を取る習慣がついた私は、あれこれ美味しく食べていた。
「Aさん。あちらの方はお知り合いですか?」
言われた方に視線を向けると、すらりとした美女が1人で朝食を取っていた。
「ううん、見覚えないけど」
「先ほどから何度か視線を感じたのですが」
「昴さんに見惚れてたんじゃないの?」
自慢だろうか。
「私ではなくあなたを見ていたことは間違いありません」
コーヒーお持ちしますね、と、先に食べ終えた昴さんが席を立つ。
気になって視線をやると、食事を終えた美女はミラーでメイクの崩れを直したりスマホを見たりしている。
その後、確かに私と目が合った。彼女は途端に席を立ちつかつかと私の方へきた。
「Aとこんなところで会うなんて驚きだわ。
しかも、あの人と一緒だなんて妬けちゃう。今年中にどうしてもやりたい仕事があるの。もう待てないって伝えておいてくれないかしら」
え? 顔も声も全く身に覚えのない美女は私の名前を知っていた。
こんなにスタイルの良い美人、一度見たら忘れないと思うんだけど。
「ゆっくり話したかったんだけど時間がないわ、残念。
次は私のために時間を作ってね」
See youと言った彼女は私の背を叩いて去って行った。
「やっぱりあなたの知り合いだったでしょう?」
タイミングを見計らったかのように入れ替わりで昴さんが戻ってくると、コーヒーを置いた後彼女が叩いた背にそっと触れる。
「え……今の人誰だっけ……?」
あんなに背の高い美人、忘れるわけないと思うんだけどな。
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まつり(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます!あれもこれも書きたくてなかなか完結しないのですが、のんびり読んでいただけると嬉しいです。 (12月11日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています!大変だと思いますがご自身のペースで続けて欲しいです!まつりさんの作るシーリーズ大好きです!!これからも頑張って下さい!応援しております。 (12月11日 18時) (レス) @page1 id: 933da0752b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年6月15日 16時