200グラム ページ11
「日本の警察には?」
ジェイムズがそう問うのはもっともだ。
社長は自虐的な笑みを見せた。
「社名を教えるので、調べてください。日本の警察OBが何人入っているか」
――なるほど。
警察官は既にそちらの手の中なのだ。
敵は手ごわい。
「なるほど、闇は深そうですな。しかし、子会社はともかくZ社はアメリカでも著名だ。これまでノーマークでしたので情報感謝します。
同じような手口で何かしでかしているのなら、世界的な犯罪集団の匂いもしますな――」
そしてきっと、黒の組織に繋がっているんだろう。
零がそんなところに所属しているなんて本当に信じられない。
「護衛を付けましょうか?」
ジェイムズは深刻な顔で社長に問う。
うちの社長、マスコミに出るレベルの有名人なので……。
「いいえ、私には不要です。今まで通りで乗り切りますので。
蘇芳のことだけ気にかけていただければ幸いです」
「では、Ms.Suoと交換しませんか? うちの優秀なSEが来日しているんです。こちらの仕事は一息ついたので差し支えなければしばらくそちらに。
今はSEですが元々特別捜査官でしたので腕も確かです」
え? リアム帰国しないの?
「交換――できればよいのですが、生憎彼女は来月から半年間、インターポールに出向が決まっていまして」
「インターポール?」社長の言葉にジョディの瞳が丸くなる。
「なるほど、だからこそでしたか」ジェイムズは納得したように言った。
しばらくインターポールに身を寄せるから私は安泰、と、社長は考えてこの話に私を巻き込んだのかもしれない。そもそも、無理やり聞き出したのは私だし。
「では彼女の仕事を引き継がせても構いませんよ? 元々公務員なので民間企業に情報が漏れることはないです。約束しましょう。もちろん、最終的には本人と面接の上決めてください。無理強いは致しません」
「社長、彼は私よりもずっと仕事ができるんで――その――この機会に私をクビにしないでくださいね」
やだ。リアムなら私の仕事は全部完ぺきにこなしそう。
日本の警察に関するシステムだけは、見せるわけにいかないけど。
「確かに君は優秀なSEだが、それ以上に営業力やコミュニケーション力も買っているんだ。そうそう誰かに君の座を奪うことはできないよ」と社長はむしろ自慢げに笑って見せた。
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まつり(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます!あれもこれも書きたくてなかなか完結しないのですが、のんびり読んでいただけると嬉しいです。 (12月11日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています!大変だと思いますがご自身のペースで続けて欲しいです!まつりさんの作るシーリーズ大好きです!!これからも頑張って下さい!応援しております。 (12月11日 18時) (レス) @page1 id: 933da0752b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年6月15日 16時