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再会5 ページ43

時刻はもうすぐ16時だった。
帰りの車で安室さんが口を開く。

「次回の診察も送迎しますよ」

「いえ、場所分かったので大丈夫です」

「大丈夫じゃないですよ――。お詫びの気持ちです、送らせてください」

「お詫びも何も――。

 私こそあのまま音信不通になっちゃってごめんなさい。
 きっと、安室さんあの日何か大変なことがあったんですよね。だけど、たぶん何を聞いてもどう返事をしたらいいかわからなかったし――。
 タイミング悪いなら、もう二度と会わないかなって――、勝手に思い込んじゃって」

「本当に――君を傷つけたかったわけじゃなくて」

真剣な顔をしてそんなことをいうから、つい笑ってしまう。

「当たり前じゃないですか!
 本気で傷つけたかったら、もっと確実な方法を取るだろうなってことくらいさすがの私にもわかりますよ?」

本気で傷つけたいなら一回恋人関係になった後に裏切るとか、もっと効果的な方法はいくらだってあるはず。あと、安室さんが私を傷つけようと画策する意図もわからない。

「友達との待ち合わせを一度くらいすっぽかした程度で、相手がどのくらいのダメージを受けるかなんて未知数じゃないですか。気にしない人だっていますよ?
 
 現に私も――そうそう、あの日はコナン君たちが偶然同じところに花見に来ていたので、一緒に楽しい時間が過ごせました。

 だからもういいんです。忘れてください。
 私も忘れます」

二度と、約束も待ち合わせもしたくないんです、ごめんなさい。



「では、せめて――。今夜ポアロで食事をしませんか?ごちそうさせてください。
 僕、一時間遅れで顔を出すので」

「え? 病院紹介してもらっただけで本当に助かったのに。
 ――でも、嬉しいです。ありがとうございます。
 おなかペコペコだし、すぐに行きますね」


これでまた、パスタも、ケーキも気にせずに食べられるようになるかな。
そうだといいな、と、私は思う。

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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月26日 8時

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