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帰り道5 ページ36
先輩があっさり「わかりました」といってくれたので本当に良かった。
私は一息ついて、新しく入れてきた温かいカモミールティーを飲む。
「では、私と恋人のふりをしておけば安心でしょう?
他の人から誘われることはありませんよ」
――全然わかってなかった。
「残念ですが、そこから恋が始まるドラマと映画と漫画、併せて10本以上知っているのでできれば却下でお願いします」
「そうなんですか? 実際には多分恋は始まりませんよ。ご安心ください」
本気で首をかしげているように見えるから困る。
なんて切り返そうかなと悩んでいたら、突然背後でがしゃん、とお盆が落ちた音が店内に響いた。
「すみません」と、ウェイトレスさんが言う。
それでも私は震えそうになって無意識のうちに右腕をかばってしまう。
四人掛けの席で今の今まで向かいにいたのに、その直後、先輩は当たり前みたいに私の隣に座っていた。
「ちょ……先輩?」
「大きな音が怖いんでしょう? 少しでも、傍に居た方が安心するかと思って」
そういって、先輩は当たり前みたいに私の右手をぎゅっと握った。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月26日 8時