phone number2 ページ22
少しだけ悩んだけど、FBIの赤井さんに電話をかけてみる。
電話番号が書いてある名刺は、手元に置いていた。
「江戸川です。赤井さんですよね? すみません。電話番号変えたので、お伝えしておきたくて――。
昨日は気にかけていただいてありがとうございました」
日本で銃撃なんて珍しいけれど、アメリカではきっと日常茶飯事に違いない。
そんな中、日本で銃撃騒ぎが起きていると聞いただけで私のことを気にかけてくれたのが本当にうれしかったから。
留守番電話にそれだけ吹き込んで、切ろうとした。
「A?」
わ、赤井さんだ。まさか、出てくれると思わなかったうえに、唐突に名前(ファーストネーム)を呼ばれたので、一気に心拍数が跳ね上がる。文化の違いは心臓に悪いです……。
加えて、彼の低い声は電話越しでも実に魅力的。
「わ。はい、そうです。すみません、突然」
「昨日は巻き込まれなかった?」
「はい。でも、銃声を耳にして、また腕が痛んできた気がします――って、そんな話はどうでもいいですよね。お忙しいところすみま――」
「どうでもよくはない。日本では、銃創に慣れた医者は少ないだろう。
精神的なものか、本当にどこかが悪いのか一度見てもらった方がいい。
気になるなら一度アメリカで見てもらえばいい。医療費はこちらが持つし、医師も紹介する」
530人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2022年5月26日 8時