98グラム ページ7
【バーボンSide】
ベルモットが密会場所として指定したのは、とあるホテルのレストランだった。相変わらず昼間から、【衣装】と呼んでも差し支えないような、派手な黒のドレスに身を包んでいる。
身をひそめる気があるのかないのかよくわからない。
それはまあ、釣り合うように黒いスーツを身に付けてきたこちらにも言えるのだろうが。
食事をとりながら、互いの情報をひとしきり交換し合う。
「そうそう。ライの母親、知ってる?」
食後のコーヒーを飲みながら、なんでもないことのようにベルモットが口にした。
「ええまあ、それなりに」
MI6に所属していてロンドン在住—―
「彼女、私が先日殺したんだけど」
『先日新しいブランド物のバッグを買ったんだけど』と言うのと、全く同じテンションでそういうことを言える神経は全くもってどうかと思う。
しかしもちろんこちらも表情一つ崩したりはせず、話の先を促すそぶりを見せた。
「なんか、昨日うちの手下が間違って撃ったっていう女の子がその特徴にちょっと似ていてね。――ちょっと胸がざわついちゃって」
「撃ち殺したなら調査する意味はないのでは?」
「死体が見つからないから気になったのよ。一目見たら納得できるんだけど。
身元不明の遺体情報、集めてこれない? 日本人の容姿とはかけ離れているから、見つけやすいと思うんだけど。
あ、その手下の方は結局ミスしちゃってジンに消されたからそっちからの情報は入らないのよね」
「探ってみます」
よろしく、と、ベルモットは言って去って行こうとする。
――てっきりまたどこかに潜入でもするのかと思ったが違ったみたいだ。
「それだけですか?」
「ええ、今日のところはね。
どうしてもここの料理が食べたかったのよ。期間限定だし。
また連絡するわ、Bye」
暇であれば買い物に付き合えとか試着に付き合えとか言い出すベルモットが、足早に去るのを見て胸騒ぎがした。
ベルモットが急遽、予定を覆さなければいけないほどの何かがあったのだ。
僕は探りの電話を入れることにした。
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まつり(プロフ) - ユーキさん» コメントありがとうございます。そうなんですよ。赤井さん滅多なことでは嫉妬しなさそうなのでシチュエーション作るのに手間がかかりました(笑)更新頑張ります!もちろん、読んでいるあなたが夢主ちゃんですよー! (2023年4月21日 11時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
ユーキ - 最高です!赤井さんが嫉妬するとかヤバい!夢主ちゃんになりたいよぉ!更新楽しみにしてます!応援してます (2023年4月21日 11時) (レス) @page20 id: 7dd99af247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年3月30日 11時