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97グラム ページ6

morning、と、事務所に入ればジェイムズはもうデスクについて難しい顔をしていた。

他のメンバーも数人、自席についたりコーヒーを飲んだりしているが誰もが難しい顔をしている。

「何かあったんですか?」

「昨日の夕方、上の方から本部解散の話があって――。
 しかし、この話を飲むとFBIはいったん帰国して出直すほかなくなるっていう難しい状況なの」

ジョディがかいつまんで説明してくれる。

「え? 突然どうして?」

「その話の出所がいまいちわからないのよね。フルヤの姿は見えないし、カザミも口を閉ざしているわ」

「降谷さんの協力を待っていたら間に合わないかも――。きっともっと上の方からの圧力なんですよ」

「そのことなんだが――1ついいかね?」と、ジェイムズが言って頷く私を別室に連れていってしまう。

「どうしました?」

「これを――赤井君から預かったんだが」

「はぁ……!?」

それは、赤井秀一は私と付き合っているという報告書だった。

「すみません、私は何も――」

「今朝急に彼に呼び出されてね」

ジョギングって言うのは建前だったのか――。

「まさかこれって、さらに上に出さなきゃダメだったりします?」

そうすると、ちょっとややこしいことになるんですけど。

「ここに留めておくこともできる」

「そうしてください、こんなプライベート、公安と共有するほどの情報ではありません」

シュウはどこまで話したんだろうか。ジェイムズは何をどこまで知っているんだろうか。
心臓がバクバクと煩く音を立てる。

「ああ、私としてもこれ以上の火種は困るんだ。赤井君はどうして今更――」

『火種』ってことは、私が零と付き合ってるって届出書が出ていることを知ってるのね、ジェイムズ。

「私はただ組織を解体させたいだけなんだ――君は何が問題だと思う?良ければ助言をくれないか?」

質問の意図はわからなかった。
素人に聞くようなことでもないだろうし。

まさか私の恋人が2人いるってことが、組織の解体にとって大きな問題ってこともない――はず。

そうなの、本当は問題であるべきじゃなかったの。

でも、それが問題になっちゃう理由なら私にもわかってる。

「潜入捜査――じゃないですか?」

潜入捜査が全てを狂わせている。

皆が皆、疑心暗鬼になって真実にたどり着けない。
守りたいものが増えすぎて、うかつに口が開けない。

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まつり(プロフ) - ユーキさん» コメントありがとうございます。そうなんですよ。赤井さん滅多なことでは嫉妬しなさそうなのでシチュエーション作るのに手間がかかりました(笑)更新頑張ります!もちろん、読んでいるあなたが夢主ちゃんですよー! (2023年4月21日 11時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
ユーキ - 最高です!赤井さんが嫉妬するとかヤバい!夢主ちゃんになりたいよぉ!更新楽しみにしてます!応援してます (2023年4月21日 11時) (レス) @page20 id: 7dd99af247 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつり | 作成日時:2023年3月30日 11時

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