121グラム ページ31
子どもたちの希望通り、観覧車と水族館のチケットを購入した。
「ちょっと、阿笠博士からもらった予算超えてない?」と、またも耳を寄せて哀ちゃんが言う。
「ううん、余裕だよ。
阿笠博士も最初から計算してたんじゃないかしら」
「無理しないでよね、気軽に誘えなくなっちゃうから!!」と唇を尖らせる哀ちゃんはとても可愛かった。
「もちろん、無理はしないわ。
安心して、いつでも声をかけてね。みんなと一緒にお出かけするの好きだし。
これでも、会社からそれなりの額の給料もらってるのよ?」
本当は給料ではなく役員報酬なんだけど、細かいことはこの際どうでもいいはず。
しかも、金払いのいい恋人が2人もいるんだから――
なんてことを考えていたので、最初の時も今も、くんくん、と、哀ちゃんが私の髪の毛の匂いを嗅いだ気がしたが深く気に留めることはなかった。
元太君たちはまずは観覧車からだと走っていくので、私は慌ててその背を追った。
【コナンSide】
オレはベンチに座ってぼーっとしている女性が気になった。
寒空の下、シャツとスカートという薄着なので余計に目を引く。
体のあちこちにケガをしていた。オッドアイなんて珍しい。
話を聞けば記憶がないという。
壊れたスマホの近くには、フロントガラスの破片と思われるガラスがいくつもあった。
車に乗っているときに事故にあったと推理すれば、灰原は彼女を頭を打った時の衝撃による逆行性健忘症ではないかと診断した。
お姉さんに何か持っていないかと聞くと、ポケットから、単語帳のようなカードの束を取り出して見せてくれる。色とりどりで半透明のそれが何なのか――
「こなーん!」
「チケットかったよー!」
と、考えをまとめる前に、少年探偵団の三人が戻ってくる。
三人が口々に話し出すと、少しだけお姉さんが笑ってくれてほっとした。
そこに「ちょっと勝手に走り出さないでってばー!」と、Aさんが一足遅れてやってきた。
事故に遭って記憶喪失みたいだから警察に通報して欲しいと頼んだら、突然女性が怯えた様子を見せて驚く。
――警察に行けない事情でもあるのだろうか。
やむなく――って嘘だな。好奇心に駆られたオレは、細かいことを考えるよりも前に、お姉さんに記憶を取り戻す手伝いをさせて欲しいと申し出ていた。
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まつり(プロフ) - ユーキさん» コメントありがとうございます。そうなんですよ。赤井さん滅多なことでは嫉妬しなさそうなのでシチュエーション作るのに手間がかかりました(笑)更新頑張ります!もちろん、読んでいるあなたが夢主ちゃんですよー! (2023年4月21日 11時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
ユーキ - 最高です!赤井さんが嫉妬するとかヤバい!夢主ちゃんになりたいよぉ!更新楽しみにしてます!応援してます (2023年4月21日 11時) (レス) @page20 id: 7dd99af247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年3月30日 11時