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95グラム ページ4

結局、シュウは外でジョギングをしていたらしく、朝食の途中で帰ってきた。

こんなに寒いのに早朝から走ってくるなんて……とはいえ、偽の顔では鼻先すらも赤くならない。それでも、心配でたまらなかった私は玄関があいたことが嬉しくて、朝食の途中で投げ出して迎えに行ってしまった。

当然、帰宅した姿は昴さんなんだけどもうそんなこと知ったことじゃなくて。

「勝手にいなくならないで」

彼が靴を脱ぐのも待たずに抱き着いてそう言ったから、「悪かった――。早く目が覚めたから声をかけるのも気が引けて。ほら、君の好きなパンを買ってきたから機嫌直して」と抱きしめてくれる。

本当は不安でたまらなくて、わぁわぁ泣き出したい気持ちだったけど、そうしたら零がこれから組織の仕事ってことがシュウにバレるから、やっぱりそれは好ましくない気がして、寸でのところで我慢した。

「もしかして、怒ってる?」

玄関に置いてあったパンを受け取るべく、やむなく昴さんから手を放す。

「怒らせるようなことをしたんですか?」とわざわざ昴さんの口調で聞いてくるから絶対に怒ってるよね。

う……っと言葉を詰まらせて俯いた私の頭を、大きな手がくしゃっと撫でた。

「冗談だ、怒ってなどいない。ちょっと妬いただけ。――そんな顔するな、こっちを見て」

あっという間にシュウの声に戻して、優しく言ってくれる。

「急に居なくなるのもうやめて」

顔を上げると、ふわりと優しく微笑んで唇を重ねる。

「すまない、もう少し早く帰ってくれば良かった。次からはメモを置いておく」

「絶対だからね?」

「ああ、約束だ」

安心した私はキッチンに戻る。

「零!シュウがパン買ってきてくれたの。サンドイッチ食べたい」

「今?」食べかけのパンケーキに目を落とす。

「お昼!」

「分かった。いいよ、出かけるまでに作っておこう」

「ハムサンドもね?」

「了解、赤井の分も作ろうか?」

「うん!今日はシュウ、一緒にお昼食べれる?」

「もちろん、ありがたくいただくよ」

仕方ないですね、もう、と言いながらも零は嬉しそうに作ってくれる。

私はこんな、ささやかで楽しい毎日が過ごせたらそれでいいのに――。

でも、こんな毎日を続けるとメアリーもコナン君も哀ちゃんも、元の姿には戻れない。

私は美味しい朝食を最後まで味わい尽くすべく、再びテーブルについてフォークとナイフを手に取った。

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まつり(プロフ) - ユーキさん» コメントありがとうございます。そうなんですよ。赤井さん滅多なことでは嫉妬しなさそうなのでシチュエーション作るのに手間がかかりました(笑)更新頑張ります!もちろん、読んでいるあなたが夢主ちゃんですよー! (2023年4月21日 11時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
ユーキ - 最高です!赤井さんが嫉妬するとかヤバい!夢主ちゃんになりたいよぉ!更新楽しみにしてます!応援してます (2023年4月21日 11時) (レス) @page20 id: 7dd99af247 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつり | 作成日時:2023年3月30日 11時

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