116グラム ページ26
代わりに電話がかかってきたのは阿笠博士からだった。
明日リニューアルオープンする東都水族館に子供たちを連れて行くという約束をしたんだけれど夕方から車の調子が悪くて……!というヘルプの電話。
キャンプよりはずっと簡単そう。
今日も東都水族館の近くを車で走ったばかりだし。
「ええ、いいですよー!」
私は翌朝の時間を確認して電話を切った。
思いがけず明日の予定が出来た私は、普段は見向きもしないバーボンをグラスに注いでいたけれど、途中で飲むのをやめる。
メアリーにあって、当時のことを思い出してしまった私は布団に横になるのが怖くなってしまった。
だから、お酒の力を借りてソファで寝ようと思っていたんだけど。
いつかシュウが渡してくれた博士が開発したという睡眠薬を飲めば熟睡できるんだよね。
相変わらずスマホに着信はない。
もしかして、例の公安の件で動きがあったのかもしれない。
明日の朝、三人分の布団を片付けるのはちょっと寂しくなりそうだ。
私は自分の分だけ布団を敷いて、睡眠薬を飲み込んだ。
【赤井Side】
ノックリストを確認に来たのは、想定通りキュラソーだった。
なるほど、データではなく中身だけを脳内に盗むという手法か――。
これは、ラムがキュラソーをよほど信用していなければできないことだ。
ノックリストを見た以上、キールが裏切り者であることは把握しているということだ。
つまり、キールを助けるにはキュラソーを始末するほかない。
沖矢昴の存在自体匂わせない方が良いだろう。
そう考えた俺は、当初の予定通り赤井秀一の姿でキュラソーに対峙し彼女を海に沈めた。
こうなれば公安はしばらく忙しいに違いない。
とりあえずこれ以上打つ手がないと判断した俺は、Aの家へと向かった。
テーブルには飲みかけのバーボンが放置してあった。
一人でいるとソファで寝落ちしがちなAが、珍しく布団で眠っている。火薬の匂いを流さなければ――と思ったが、可愛いAの寝顔を近くで見ようと横になった途端に、数日分の眠気が襲ってきた。
無意識のまま俺の方に擦り寄ってくる彼女を腕に抱きしめ、気絶するように眠りに落ちた。
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まつり(プロフ) - ユーキさん» コメントありがとうございます。そうなんですよ。赤井さん滅多なことでは嫉妬しなさそうなのでシチュエーション作るのに手間がかかりました(笑)更新頑張ります!もちろん、読んでいるあなたが夢主ちゃんですよー! (2023年4月21日 11時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
ユーキ - 最高です!赤井さんが嫉妬するとかヤバい!夢主ちゃんになりたいよぉ!更新楽しみにしてます!応援してます (2023年4月21日 11時) (レス) @page20 id: 7dd99af247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年3月30日 11時