103グラム ページ12
「A、こんなところに居たのか」
背後からシュウの声が聞こえてきて驚いて振り向くと
「心配したよ」と囁かれ、手を引っ張るように立ち上がらせて唐突に抱きしめてキスをしたから目が丸くなる。
「ちょ……っと、何やってるの?」
ここは日本だ。なにこの、オーバーすぎる愛情表現。
周りから浴びる視線が痛い。
「甘いな」って言うけど、そりゃそうでしょうよ。私は今、ここ最近のシリーズでもかなり甘さ多めのスタバの新作フラペチーノを堪能していたところだ。
「ちょ……っと、もしかして寝てないの? コーヒー頼んでくるからリアムと話してて。積もる話があるでしょ?」
おかしい、明らかに変。
シュウは私の手を強く握り腰に手を回したまま離そうともしない。
ここはうちのリビングじゃなくて、大勢の人が行き交う空港ですけど?
「コーヒーはテイクアウトでいい。リアム、お前だってほら、早めについた方がいいだろ。
そんなに滞在時間だって長くはないじゃないか?」
「俺は別にこっちからだって仕事はできる。目標が見えないと弾を当てられないお前とは違うからな」
――って、面倒な喧嘩が始まりそう。
え、何なの?この2人。 もしかして、零とシュウと似たような関係性なの?
ずっとトラブルメーカーは零で一方的にシュウに絡んでいるだけだと思ってたけど、シュウもなのか……。
「待ってよ、シュウ。私は今からリアムを連れてホテルに行くの。そこに機材があってね……?」って予定を説明しようとしているのに
「ほぉ、君は徹夜明けの俺を差し置いて他の男とホテルに行くのか、悪い子だ」
と返して頭にキスが落ちてくるから全然話が進まない。
「ちが……!ホテルを準備したのは私じゃなくてあなたの上司よ?」
もうちょっと待って。周りの視線が好奇の色に染まって行って、私の手に余るし恥ずかしい。
リアムもリアムで、楽しそうに眺めているのやめてくれるかな。
シュウの力はいつもよりずっと強くて、私には振りほどくことなんてできない。
129人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まつり(プロフ) - ユーキさん» コメントありがとうございます。そうなんですよ。赤井さん滅多なことでは嫉妬しなさそうなのでシチュエーション作るのに手間がかかりました(笑)更新頑張ります!もちろん、読んでいるあなたが夢主ちゃんですよー! (2023年4月21日 11時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
ユーキ - 最高です!赤井さんが嫉妬するとかヤバい!夢主ちゃんになりたいよぉ!更新楽しみにしてます!応援してます (2023年4月21日 11時) (レス) @page20 id: 7dd99af247 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2023年3月30日 11時