ペリドットの秘密7 ページ34
「なるほど。妹の件については了解した。
それでいいか?」
私は背伸びして彼の首元に手を伸ばす。
「そういうことじゃないの。
あのね、せっかく赤井秀一って教えてくれたのに。
私のせいで家でゆっくりできないなんて申し訳ないなと思って――」
「誰が?」
見開いた瞳は、極上のペリドット色。
「だって、昴さん、首元の詰まった服を着てないといけないし」
「それはもう慣れた」
「ずっと変装してないといけないし」
「それももうとっくに慣れた」
「でも――」
「A、君はとても大きな思い違いをしている」
そういうとふわりと抱き上げられた。連れて行かれたのはソファの上。
すぐ隣に優雅に座る姿に、ドキリと心臓が跳ねる。
「俺がこの姿でいるのは君のためじゃない」
優しく頬を撫でる指に、ゆっくり瞳を閉じると唇が重なった。
――ほらね? 間近で瞳の色を見るなんてなかなか難しいでしょ?
と、心の中で少しだけそう思う。近づけば瞳を閉じるし、夜はもっと暗い部屋で過ごすから、瞳の色なんて、わかんないよ?
ままごとみたいな触れるだけのキスで彼が解放してくれるはずもなく、唇と舌の動きに翻弄されている間に、どんどん深くなる。
息苦しいのも、熱いのも、甘いのも、恥ずかしいのもぜんぶあいまって、私は感情が追い付かない。官能の海に溺れそうで怖くて、助けを求めるように彼に抱き着けば、キスも愛撫も、より一層深まった。
明るい部屋で私たちは、とても原始的な方法で、ただただ相手の存在を、愛を、確かめ合った――。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月25日 13時