ペリドットの秘密5 ページ32
「そっか……。去年の冬……」
世良ちゃんは明らかに落胆した表情を見せた。
――ごめんね、真純ちゃん。
私は心の中で謝ってアイスコーヒーを飲む。そして、やっぱり秀一の過去と家族構成を聞いていてよかったとも思う。
何も知らなかったら警戒することなく、「今年の6月に出会った」と正直に伝えていたに違いない。
そうしたら彼女は疑いを抱くに違いなかった。
沖矢昴が赤井秀一の変装ではないかって――
「その人、瞳の色は何色なのかな?」
「瞳の色? えー? その質問なんか深い意味があるの?
そういわれてみたら、そんなに間近で瞳を覗き込む機会なんてなかなかないよね……?
何色って言えばいいんだろう? しいて言えばブラック寄りのブラウン?
園子さんは京極さんの瞳の色を聞かれたら何色って答える? 蘭さんは、新一君の瞳の色ね? JKがなんていうか教えてほしいなー」
「ちょ、世良ちゃん、初対面のお姉さん相手に質問が大胆すぎるー」
園子さんと蘭さんが真っ赤になってああだこうだいいだしたので、話はそこでうやむやになった。
カフェを出る時までずっと、その話でテンション高く盛り上がっていたので、私は通りすがりについ、ぶつかってしまった女性のことは気にも留めなかった――。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月25日 13時