ペリドットの秘密1−Kid side― ページ28
誰かになりきるためには、それなりの下調べが欠かせない。
氏名、生年月日、住所、職業、衣食住の情報
姿、声、喋り方、癖、人間関係、どんな風に感情を出すのか――
盗撮、盗聴、周囲への聞き込みなどなど。
まあ、何が言いたいのかと言えば、誰かのことを調べるのにはそれなりの時間が必要ってこと。
でも、こんなのも慣れてくるとさささーっとできるってわけ。
特に、俺くらいの大怪盗ともなれば。
だから、どれほど調べても何もわからない奴には近寄りたくない。
例えば、沖矢昴とか、鋤野Aとか――
しかし、宝石のことを耳にしたことがある家族が突然消えたと聞けば、調べないわけにはいかなかった。
その情報はきっと、オヤジの何かを知る手掛かりになるはずだから。
鋤野という、だいぶ前にマジック界隈で人気を博していたのにある時を境に急に引退してしまった、夫婦のことが頭をよぎったので、そこからあたりを付けていくことはそれほど難しくなかった。
とはいえ「鋤野A」という人物は、調べた限り公には存在しなかったので自白剤の効果がなければ、即ここまで調べ上げることは困難だった。
タイミングよく二人で大学に来ていたので、沖矢昴にだけ席を外してほしかったのだが――。こちらもなかなか、当たり障りない大学生活を送っているらしく、周りをうまく操ることは難しかった。
まあ、昨日とは違って、さすがに白昼堂々と拳銃で狙われることはないと思うけどね。
それにしても、なかなか厄介な相手だ。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月25日 13時