43グラム☆ ページ48
それにしても――と、髪を乾かし終えた私はソファに座って考える。
さっきファミレスであった沖矢昴の中身は本当に赤井秀一だったんだろうか。
キッド君は変装しているとき、必ず私に「自分」とわかるアピールをしてみせる。
「おねーさん」と呼びかけてみたり、地声を聞かせたりする。
――でも、彼がそういうアピールをしてこなければ、私にはキッドの変装なのか赤井秀一の変装なのか見抜くことができない。
今日、鈴木財閥で話をした沖矢昴だって完璧だった。
とても中身が高校生とは思えないようなしっかりした受け答えをしていた。――あれかな。ミステリートレインの時みたいに、イヤフォンを仕込んで実際にはシュウが話していたんだろうか。
それとも、普段私の前でわざとふざけた態度を見せているだけで、怪盗キッドの本質はあちらなんだろううか。
「ほら、難しい顔して。寝る前にはもう何も考えない。わかった?」
風呂から上がってきた零は、おいでと手を伸ばすと私を寝室に運んでくれた。
「布団――って、定期的にクリーニングに出したりしてる?」
「してるに決まってるでしょ? 誰よ、毎回毎回布団を使い物にならなくするのは……」
「Aだろ?」
くすりと笑うからタチが悪い。
「違うでしょ? 責任感じて!」
「褒めてくれて嬉しいよ」
「ーーシュウの真似?」
自信たっぷりに訳のわからないことを言うのは、大抵シュウなのに。
「まさかーー。でも、君の笑顔が見れたからそういうことにしておいてもいい。さあ、一緒に眠ろう。
それとも、イヤなこと全部忘れられるようなコトでもしようか?」
体力なんてないくせに、こんなに疲れた顔してるのに、煽るのやめてくれないかな。
「キスとハグ、だよね?」
そういって、私は零の唇を奪う。息もできないくらい深いキスは、前よりずっと上手くなった。
「それ以上でも」
「残念。零は睡眠不足が過ぎるわ」
「君もだろう? 僕が帰宅しなかったら寝ないつもりだった」
「だとしたら、まだ未遂ってことだから咎められることはないわね。でも、私のためにここにきてくれたのすごく嬉しい」
あれこれ聞いてみたかったけど、守秘義務の一言で流されるのは怖くて。
キスとハグで空白を埋めていく。
どっちがどっちを慰めてるのか、わからないくらい甘くじゃれあってるうちに、私たちは眠りに落ちていった。
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まつり(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!前回のキッドの時とはまた違うパターンでってイメージでしょうか。承りました。 (2023年1月30日 6時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 続編おめでとうございます、!この話大好きすぎてやばいです。リクエストは、ヒロインが赤井さんと降谷さん以外の男性と親しげに話していてそれにすごーく嫉妬で狂う姿が見たいです、、! (2023年1月30日 2時) (レス) @page11 id: d7cfe12389 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - 星良さん» こちらこそ、応援ありがとうございます。リクエストありがとうございますー!いいですね。私も見たい!是非書きたいと思います✨ありがとうございます。 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
星良(プロフ) - 続編おめでとうございます!! 今回も楽しく読ませていただいています✊ リクエストなのですが、、、蘇芳ちゃんが嫉妬?しているところがみたいです💦 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 4e794d85df (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - やっちさん» やっちさん、こちらこそ、続きまで読んでもらってありがとうございますー!引き続き、よろしくお願いします。 (2023年1月28日 20時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年1月28日 15時