恋人の愛はちょっと重たい1【名探偵コナン/愛され/逆ハー】

42グラム ページ47

「さぁ、そろそろ帰りましょうか」

私がいつまでも飲み終わらないコーヒーを手に取って、昴さんは勝手に飲み干してからそう言った。

「昴さんも一緒にって意味だよね？」

「――残念ながら」

「どうして？ 何してるの？ いつになったら帰ってくる？」

「仕事中。仕事が終わればあなたの元に帰ります」

「なんでもかんでも仕事の一言で片づけるのずるい」

「守秘義務が」

なんて、あれほどルール無視で生きてるくせにこんなときばっかりそんなこと言うのずるい。

でも昴さんが伝票を持って立ち上がるから、私だけ一人駄々をこね続けるわけにもいかない。

これではまるで「仕事と私どっちが大事？」と迫って困らせる迷惑な恋人だ。

過去、そんな風に当時の恋人に言われて別れたことだってあるのにね、私。

「声を聞かせて」

店の外に出て強請ってみた。

「今はだめ」

私は彼の腕を掴んで背伸びして、ハイネックに手を伸ばす。

「誰が見てるかわからない……でしょう？ いい子だから困らせないで」

私の手は、彼の首に手が届く寸前で取り押さえられてしまった。

「――昴さん、なんだよね？」

「ええ、見てのとおり」

いつものように、私の頭にキスを落とす。
私のスマホを使って、彼が呼んだタクシーはすぐに来てしまった。

「帰宅したらすぐに薬を飲んで寝て――」

いい子だから、と、昴さんは私の頭を撫でてタクシーに乗せる。

あっという間にタクシーはマンションについてしまう。

シャワーを浴び終えたタイミングで、零が帰ってきた。

ひどく疲れた顔をしている。

「零もシャワー浴びる？それとも先に休む？」

布団は先に敷いているから問題はない。

「ん。シャワーかな？」

髪が乾いてないことも忘れて、ぎゅうと零に抱き着いた。

「会いたかった」

「僕もだよ。ほら、風邪をひくから髪乾かして」

「零があっためてくれるから平気」

「平気じゃない。それならドライヤーをかけてあげるから、こっちにきて」

「やだ。このままぎゅってして」

「一晩中傍にいるから、10分だけ待って？」

「本当に？」そういって、すぐに出て行くんだから。

「ああ、本当だ。そのために帰ってきた」

零はそう言って笑うと、何度か唇を重ねてドライヤーのところに私を連れていく。

簡単に抱きあげるのずるい。

時間を有効に使おう、と提案して、私がドライヤーをかけている間に、零には入浴してもらうことにした。

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