27グラム ページ31
「君がキスしてくれたら、すぐに機嫌を直すよ」
「そっかな。そんなにわかりやすい人には思えないけど」
いつまで経っても、沖矢昴に慣れることができないのは絶対にあの喋り方のせいだと思う。
その証拠に、シュウとして喋ってくれる間はもっと親しくできる。
「それは君がとても他人行儀だからだ――淋しいだけだ」
「それは昴さんの口調のせいだよ？――つられるんだもん」
「確かにそうだな。Aはすぐに人の影響を受ける。それでいて、簡単に染まるかと思えばそうでもないから困る」
「困っていることなんて何もないくせに」
いつだって完璧なシュウに【困る】なんて単語は全然ふさわしくない。
「君は俺を困らせる名人だと思ってるんだがな」
いい加減に朝食を取ったらどうだ、と、シュウが笑う。
「どうして零は仕事に行っちゃったの？ポアロはしばらく休むって言ったくせに」
零とだってこうやって、なんでもない話をいっぱいしたいのに。
「彼は、忙しくしていないと余計なことを考えて不安になるんだ。孤独を感じるとすぐに飲みに行って新たな出会いを求める君と大差ないと思うがな。
降谷君とは昨日たくさん話をしたんだろう？ 今日は俺のことだけ考えて」
こんなに起きる気がないなら、いっそ、今日一日俺のことしか考えられなくしてやろうか？――なんて不意に夜を思わせる色っぽさを声に混ぜ込むから、私は寝室から抜け出すほかなくなってしまう。
キッチンに行けば、私のために朝食が(っていうか、もう時間的にブランチだけど)用意してあって嬉しくなった。
きちんと、メモ書きまで残してある。零らしい、几帳面で綺麗な文字だ。
朝食を取った私は、端末をみてため息をついているシュウに気が付いた。
「どうしたの？」
「いや、俺の平穏な一日が怪盗に奪われそうなんだがどうしたものかと思ってね」
端末を覗きこめば、それは工藤邸に仕掛けている隠しカメラだった。
私服姿のカイト君(多分素顔)がにっこり笑ってこちらに手を振っている。
隠しカメラの意味ないじゃん？
「シュウが一方的にキッドの仕事禁止しちゃうからでしょ？いいよ、私がキッド君に電話するからシュウは着替えて？」
「無視するという選択肢もある。端末なんて立ち上げなければ良かった」とシュウは言うが、そんなわけにもいかない。
「だって、コナン君がきたら困るでしょ？」
「俺は特に困らんが」とか言うから、コナン君は家を貸す相手に失敗しているとしか思えなかった。
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まつり(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます！前回のキッドの時とはまた違うパターンでってイメージでしょうか。承りました。 (2023年1月30日 6時) (
レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 続編おめでとうございます、！この話大好きすぎてやばいです。リクエストは、ヒロインが赤井さんと降谷さん以外の男性と親しげに話していてそれにすごーく嫉妬で狂う姿が見たいです、、！ (2023年1月30日 2時) (レス) @page11 id: d7cfe12389 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - 星良さん» こちらこそ、応援ありがとうございます。リクエストありがとうございますー！いいですね。私も見たい！是非書きたいと思います✨ありがとうございます。 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
星良(プロフ) - 続編おめでとうございます！！ 今回も楽しく読ませていただいています✊ リクエストなのですが、、、蘇芳ちゃんが嫉妬？しているところがみたいです💦 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 4e794d85df (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - やっちさん» やっちさん、こちらこそ、続きまで読んでもらってありがとうございますー！引き続き、よろしくお願いします。 (2023年1月28日 20時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつり
| 作成日時：2023年1月28日 15時
