22グラム ページ26
「シャトー・マルゴーなんて、どうしたんですか?」
零がシュウに問う。美味しい赤ワインと言っていただけあって、本当に絶品だった。
もちろん、零がたくさん準備してくれた美味しい料理があってこそ、だとも思うけど。
料理もお酒もあらかた片付き始めていた。
何でもないことを話しながら三人で食事をするのは本当に楽しくて、こんな時間がいつまでも続けばいいのに、と思う。
「弟にお祝いでもと思ってシャンパンを買いに行ったら偶然見かけてね。これはと思ってつい、買ってしまった。思い立ったらすぐに飲みたいたちでね」と、向かいに座るシュウが言った。
四人掛けのテーブルにどう座るかは決めていないんだけど、今日は私と零が隣で、向かいにシュウが居る。
「弟……?」私は首を傾げた。
「妹じゃなくて?」
「妹はまだワインは無理だな」いくら俺でも未成年にわざわざ飲酒は進めんよ、と、シュウが言う。
「シュウの弟って、誰?」
「なんだ、知らないのか?」とシュウが言う。
それはとても驚いた風で――。
「えっと、……それはメアリーが言ってた、養子に行った息子ってこと、だよね? うん。名前は聞いてない」
そもそも、メアリーが私が留学中に息子の名前を口にしていたら、私は赤井秀一のことだって耳にしたことがあったはずだ。
あの頃は自分のことでいっぱいいっぱいだったし、真純ともそこまで深い話はしなかったしな……。
「あれ? 零は知ってるの?」
知ってなければ「何のお祝い?」と聞いてもよさそうだ。
「ああ、もちろん。ずいぶんとお世話にもなったし」
「え?公安とか警察とかFBIとかにいるってこと?」
まさかこの流れで実は例の組織にいる――みたいな話にはならないでほしい。
「いや、弟は公務員じゃない。キシだよ」
――騎士?
「中世ヨーロッパ……?」頭の中には鎧をきて馬に乗っている人しか浮かんでこないけど、多分それじゃないよね?
今はやりの転生モノ? いや、ラノベじゃあるまいし、まさかね。
さっぱり意味が分からない。
「ワインでも酔うのか?」と、シュウは笑う。
「ちがうって。だってキシって言ったら……」
キシ。あれ? 私はつい最近、その言葉をどこかで聞いたことがある気がして記憶をたどる。
『私の恋人は、棋士なんだ。羽田秀吉』って、昨日由美さんが言ってたけど――。
「ひょっとして、将棋を指す人――って意味?」
ちょっと待って。胸騒ぎがして、心臓がバクバクと騒ぎ出す。
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まつり(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!前回のキッドの時とはまた違うパターンでってイメージでしょうか。承りました。 (2023年1月30日 6時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 続編おめでとうございます、!この話大好きすぎてやばいです。リクエストは、ヒロインが赤井さんと降谷さん以外の男性と親しげに話していてそれにすごーく嫉妬で狂う姿が見たいです、、! (2023年1月30日 2時) (レス) @page11 id: d7cfe12389 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - 星良さん» こちらこそ、応援ありがとうございます。リクエストありがとうございますー!いいですね。私も見たい!是非書きたいと思います✨ありがとうございます。 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
星良(プロフ) - 続編おめでとうございます!! 今回も楽しく読ませていただいています✊ リクエストなのですが、、、蘇芳ちゃんが嫉妬?しているところがみたいです💦 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 4e794d85df (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - やっちさん» やっちさん、こちらこそ、続きまで読んでもらってありがとうございますー!引き続き、よろしくお願いします。 (2023年1月28日 20時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年1月28日 15時