恋人の愛はちょっと重たい1【名探偵コナン/愛され/逆ハー】

新プロジェクト ページ13

IoTテロ情報を皮切りに、零はあれこれと動き始めた。

最初にこの情報をまとめ上げた「私」をキーパーソンに仕立て上げるのなかなかズルいよね。

お陰で私は、警察に「出向」という形を取ることになる。
民間との交流とか、色々とお題目は作れるもので、やろうと思ったらどんなことでも実現するんだなぁ……と思いながら、私は仮事務所にいる。

零の目論見だと、IoTテロの国際的な広がりを匂わせて公式にFBIとのチームを作る流れに持っていくらしい。

先の見えない「黒の組織」の話を前面に出すよりもずっと、この方が話が早いからねと零は言う。

本来、顔合わせの席にシュウも居るべきなんだけど、相変わらず彼は病院から帰ってこない。もう3日になる。なんで病院の面会時間って10時から16時なんだろう。そんな時間に自由に動けるわけもない。

本当は私だってゆっくりお見舞いしたいけれど、新プロジェクトに勝手にいれられた身としては、そんなにのんびりもしていられない。

IoTテロに対する仮説は、公安と私とではだいぶ異なるので、根拠を示したり説得のための資料を作ったりと時間がかかるのだ。

なお、斎藤長官直々に私の「出向」を依頼されたわが社の社長はかなりご機嫌だった。最近、鷲頭清も会社に姿を見せないし、システムにアクセスしている様子も見えないから、気が楽になったんだろうな――。

一方、公安で働く降谷零は、ポアロでよく見る「安室透」とはもはや別人だった。

仕事さばきは早く、部下への人当たりは限りなく冷たい。周り全部を敵と見なすようなその態度は、一見とても近づき難い。一方で流れるように動き回るその姿はとても美しく、見惚れている女性が何人もいることを知ってしまう。

そうだよね、隙あらば近づきたいよね。

「お疲れのようですが、あまり無理なさらないでくださいね。休憩されたらどうですか？」と、声をかけてくれるのはだいたい風見さんだ。

そもそも、突然現れた民間人に風当たりが優しいわけもない。
だからといって、どうみても忙しそうな零に「助けて」と言い出すほど非常識ではなかった。

色々な会社に訪問して仕事をすることも多いので、出先の空気を読んで合わせるのは得意な方だ。

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