恋人の愛はちょっと重たい1【名探偵コナン/愛され/逆ハー】

IoTテロ ページ1

「ちょ……っ！蘇芳さん、何してるんですか？
　赤井さんはどうするんですか？

　そりゃ、あんな危険な状況から救ってくれたら惚れちゃうのもわかりますけど、それって結局、ただの吊り橋効果ですからね？
　あれは恋じゃなくて、不安のドキドキです。
　騙されないでください。浮気は良くないです。
　赤井さんに殺されますよ？」

用があって私の部屋に入ってきた田中さんは、ものすごく近くに顔を寄せて話をしている私と昴さんを見て顔を真っ赤にしてそう言った。

沖矢昴の正体が赤井秀一だと、降谷零に明かして以来、昴さんの距離の詰め方が半端なくなってきた。

同じ会社で働いているんだから自重すべきなのに――って言ったところで、一度吹っ切れてしまった昴さん(シュウ)の耳に入るわけもない。

そもそも、国民性なのか彼本人の気質なのかわからないけれど、普段の距離感からしてちょっとおかしいのだ。それがもう――恋人ともなると。

隙あらば人目も気にせず私に触れようとするから困る。

そして、距離感のバグってきた私は、だんだん適切な距離感がよくわからなくなってきた。

――そっか、今の距離は近すぎた？

ま、どちらにせようちの会社の人たちは大抵、見て見ぬふりをしてくれるわけなんだけど、赤井秀一の大ファンであり、結構前からの合コン仲間でもある、わが社の人気受付嬢、田中花蓮だけはそうはいかないようだ。

ちなみに、田中さんは赤井秀一のことを【アメリカで仕事をしている、私の遠距離恋愛中の恋人】だと信じ込んでいる。

「そうねー、赤井さんに殺されるなら沖矢さんも本望なんじゃないかなー。そうですよね？」と本人を目の前にして言ってみた。

「そうやってすぐに恋人の名前をだして人を牽制してくるのはいただけませんね。田中さんも、吊り橋効果なんて教えちゃだめですよ？ 専務は気付いてないんですから」

彼は細い瞳で微笑むだけだ。

「私は赤井さんのために言ってるんです！

　だって、蘇芳さんと赤井さんが別れたら、もうここに来てくれなくなるじゃないですか！私の楽しみを奪わないでください！」

――と、田中さんは田中さんで、自分なりの思惑があるわけで――

わが社は今日も平和です。

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