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「シュウはハッキング。
じゃあ、
「おそらく――まあ、結局その後毛利探偵があの動画を広く公開してしまったから、証明することは困難だが」
その話は歩美ちゃんから聞いた。
「ポアロで長い時間一緒に過ごしたとき、私が、毛利探偵事務所の前で空き巣っぽい人を見たって叫んだの覚えてる?
零あの時、結局、鍵を変えるように毛利探偵に言わなかったみたいなんだよね。
ピッキングのことじたいも報告してないみたい。
それって、零自ら定期的にピッキングして探偵事務所に入ってるから――って可能性もあるってこと?」
信じられない。
警察をやりながら、同時に不法侵入もするなんて。
――精神状態どうやってキープしているんだろう。
キープできないから、組織絡みの仕事をするたびに私の前から姿を消してしまうのかもしれない。
シュウは、あいまいに微笑んだまま、YesともNoとも言わなかった。
「――そういえば、昨日、黒服の男が8号車に居たでしょ? あの人、どうしたの?」私は話題を変える。
「俺の姿を察知したとたん、後ろの車両に走って行った。
時間がないので追ってないが――。
そういえば、食堂車でも君は気にしていたな。知り合いか?」
「ううん。知らない人。あのタイミングで黒服着て8号車に居るって、やっぱり組織の関係者?」
「――さあ、どうだろうな。俺は面識はないが、もうだいぶ古い情報だからな」2年前だったっけ、組織を抜けたのは。
「あの人が、毛利探偵事務所のピッキングをしてたっていうのは、考えすぎかな――。
背の高さとか、体型とかすごく似てた感じがして。
それに、組織の人だったら零が庇うのもうなずけるっていうか」
「悪くない推測だが、根拠は乏しい。似たようなBodyの人間はごまんといる。
空き巣という可能性もある。8号車に居た人間は皆、火を恐れていたから、私物をそのまま列車に置いていると考えて、置き引きを試みた可能性も捨てきれん。
あの時は顔を見てないんだろう?」
「――そう、なんだよね――。あくまでもすれ違ったときの雰囲気に見覚えがある気が下だけ。考えすぎだといいけど」
あるいはもう、会うこともないかもしれない。
「君がそんなに難しい顔をする必要はない。次に会ったらすぐに教えてくれれば俺が対処する。――ミルクティーでも飲むといい」
シュウは私の眉間にキスをして立ち上がる。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年11月25日 12時