秘密の開示2 ページ46
「そういえば、コナン君すごく真剣な顔してそんなこと言ってきたわ。
てっきり、アニメか何かの話かと思ってた。だって、その【黒の組織】っていうのが全然ピンと来なくて」
「あなたの彼氏は何も言ってこないの?」
「ポアロの安室さんのこと? よく知っているわね。ああ、コナン君か……。安室さん、ああ見えて忙しい人だからその話はしていないわ。
哀ちゃんは何か、心当たりでもある? もしかして小学生の間で流行っているアニメとか?」
ふぅ、と、哀ちゃんは重たいため息をついた。
「なるほど。こういうのが昴さんの言っていた【領分】ってやつかもしれないわね」
と、独りごちる。
沖矢さん、たまに日本語の使い方おかしいから気にしなくていいと思うんだけど。
何の話をしていたんだろう。
「どうやら、コナン君と哀ちゃんには見えて、私には見えない世界があるみたいね。
さて、哀ちゃん。
私をあなたの【領分】とやらに引き込んでくれるつもりはある?
それとも、ずっとこのままの距離感がいいかしら。私はどちらでも構わないわ」
こちらを見つめる哀ちゃんの瞳は、深みと愁いを帯びている。
小学生ではないことはわかるが、高校生でもこんなに悲哀の帯びた眼差しなんてできないと思う。
彼女の人生のすごみと深さが垣間見れた気がして勝手に胸が痛んだ。
「そうだ。遠出する前にビートルの運転に慣れておきたいから、ちょっとドライブに行きましょうよ?」
博士にも聞かれたくはない。
私は哀ちゃんを外に連れ出し、零からもらった「 盗聴器発見機」でビートルの中を探り何もないことを確認する。
「実際のところ、ポーカーをはじめとしたカードゲームはものすごく苦手なの。
それなのに、最近そんなのばっかりで疲れてきちゃってるところがあるのよね。
面倒だから哀ちゃんには、私の手持ちのカードを見せようか?」
助手席の哀ちゃんが頷くのを確認して、言葉を続ける。
「私は普通のOL。
黒の組織のことは、ほぼ何も知らない。あえていうなら、それが実在しているらしいということと、凶悪っぽいということくらいだわ。
そしてなぜか、江戸川コナン君は私が組織の一員じゃないかって危惧している。理由は不明。
もちろん私はそんな組織の一員ではない。
あなたに今、見せられる持ち札はほぼこれで全て。
思った以上に何もないわね」
正確な人間関係が見えてこない以上、零やシュウなどの、私以外の人の話はできなかった。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年11月8日 10時