秘密の共有4 ページ32
「君の過集中に付け込んだ」とシュウは笑うが、解放された頃には本当にくたくただった。
シュウは私が飽きたり疲れたりするたびに、興味を持たせるのが上手すぎて困る。
そもそも、私には体力も筋力もなさすぎるっていうのに……。集中力と好奇心だけはあるから、そこをうまく利用されたのね、怖い。
どう考えても、私なんか邪魔でしかないはずなのに、「ぜひまた一緒に来よう。君と一緒の方がずっと楽しい。何心配ない、日本での銃のライセンスの取り方はそう難しくはない」と誘ってくれるので、シュウよりも先に建物から出て、その足で近くのジムに加入した。場所的にも米花町よりはずっと私の会社に近いので都合が良い。
まさか、そこまで考えてここにしたわけじゃないよね?
だって私、部外者だもん。偶然だと思いたかった。
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「早めに仕事が上がれたから、きになっていたジムに寄ってみたの。慣れない運動で、思いっきり疲れたー!」といって、帰宅前にポアロで夕食をとる。
今日はさすがにお腹が空いていたから、夕食を食べない、という選択肢は考えられなかった。
そっか。きちんと動けばお腹が空くのか――と子供でも知っているような単純な事実にたどり着く。いつも運動不足と言われるのはあながち冗談でも嘘でもないのだろう。
「最初に張り切りすぎるから続かないんじゃないですか?」と、安室さんに笑われた。
私もそう思う。
お陰で夜もしっかり眠れた。
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今週は本当に仕事以外が忙しい。
翌日は、蘭ちゃんと一緒に妃弁護士と夕食を食べた。
コナン君と毛利探偵は事件で出かけているらしかった。
私は、連絡先だけもらえれば良かったんだけど思いのほかしっかり顔を合わせることができて良かった。忙しいうえに、法曹界のクイーンと名高い(と、教えてもらった)先生に、専門外の書類確認なんておこがましいと思っているのに、なぜか話の流れでリーガルチェックを直接受けてもらえることになって本当に申し訳なかった。
まあ、自分の別居中に家に泊まっている人なんて聞いたら、穏やかではいられないよね。
書類を渡すときに他の話もしたいのかもしれない。
「会社の顧問弁護士には頼まないの?」と聞かれたので、
「なんとなく、会社の顧問弁護士って、会社の味方な気がするんですよね……。無関係な専門家のチェックが欲しくて。疑い深くてすみません」と笑うと
「しっかりしているのね」と微笑まれた。
この言葉、シュウと零に聞かせたい!!
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作者名:まつり | 作成日時:2022年11月8日 10時