ロンドンのお土産話2 ページ10
夕食後、私はまた蘭ちゃんの部屋で二人で話をすることになった。
「これ、お土産ですー!懐かしいかなって思って」と紅茶とクッキーを渡してくれて、とっても嬉しかった。
「うん、とっても懐かしい!ありがとうー。
そういえば、新一君に会ったってどういうこと?」
「そうなんですよーっ!!私もまさかロンドンに居るなんて思ってもいなくて。っていうかあいつ、いるならいるって言ってくれればいいのに、全然素直じゃなくてー!!でもね……」と早速、恋の話になった。
2人の恋は進展したみたいで、本当に良かった。
手放しで応援したくなる恋ってあるんだねー!聞いているだけで幸せです。
「コナン君たちと同じ便でロンドンに行ったんだよね?」と話の途中でさりげなく聞いてみると
「それが阿笠博士とコナン君って確か1便後できたんですよねー。あれ、どんな理由だったっけ……?」と首を傾げる。
「だってね、ロンドンではいろんなことがありすぎて、あのね……!」と話はすぐに別の方向へと向かっていった。
なるほど、シュウの推理は正しかったというわけだ。
江戸川コナンの正体は、工藤新一。
時折、とある薬を飲めば元の姿に戻れるがおそらく長くは保てない。また、常飲出来るようなものでもないのだろう。
あるいは、日本では元の姿でいてはまずいという可能性も見え隠れする。
例えば、実際は殺されたことになっているので素顔で出歩けない赤井秀一と似たような事情を抱えている可能性だってある。
加えて、工藤新一はその正体を恋人である毛利蘭には伝えていない――。
そのことが私の胸にとても強く引っかかった。
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もちろん、蘭ちゃんに伝えないのはきっと、新一君の気遣いとか優しさとか、そういうものから来ているんだと思う。
あるいは正体を知られたら彼女まで危険に巻き込んじゃうからダメ、とかね?
まあ、コナン君として傍に居られるし蘭ちゃんに受け入れられているというのも一因か――。
私があのまま、沖矢昴の存在を受け入れて早く親しくなっていれば、シュウは私に正体を明かさずに済んだのだろうか。
――さすがに、恋人が亡くなった直後に現れた別の男に興味を持てと言われても――それはなかなか難しい。
でも、シュウが生きているといった時点でその可能性について考えても良かったのだ。指輪に名前、ヒントはあった。
そしたら、カミングアウトしなくて済んだよね。
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蘭ちゃんの方がよほど、大人だ。
とっても偉い。
ロンドンのお土産話3―コナンSide―→←ロンドンのお土産話1
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作者名:まつり | 作成日時:2022年11月8日 10時