Show Time1 ページ43
昴さん(秀一)と一緒に会議室へ走るうちに、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
落ち着いて考えてみれば「家族」の件は、私にとっては触れたくもない重たい過去だけれど、他人にとってはどうってことない話かもしれない。
私は会議室のドアを開けようとするが、全く反応がない。
昴さんが体当たりしてみても、だめだった。
「コナン君、いる?」
私はどんどんと扉をたたく。
「うん……。中からはあきそうにないや……」
コナン君の息も絶え絶えの声がスマホ越しに聞こえてくる。
「ボウヤ扉付近から離れてくれ」
「わかった…… いいよ!扉から向かいの壁まで直線距離で〇メートル、その間は無人で何もない。壁の厚みは〇センチ程度、素材は……」
コナン君は突然部屋の様子を詳細に語り始めた。
私にはどうして彼がこの非常時にそんなことを語り始めたのかまるで意味が分からないが、昴さんはジャケットの中に手を入れる。
私と目が合いほんの一瞬躊躇した後、いたずらが見つかった子供のような顔を浮かべると、肩をすくめ拳銃を取り出し、何の躊躇もなく引き金を引き一発で扉の鍵を破壊した。
パンという乾いた音が、どこか現実感がなく響き、花火を思い出させるような、火薬の匂いが鼻を衝いた。
これが小説で何度か目にしたことのある「硝煙の匂い」ってやつなのかもしれない。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時