call a spade a spade2ーthird person― ページ34
「――あっぶね――」
ひとりごちると撃たれたスマホが無残に飛んでいくのを見送ることもなく、キッドはくるりと振り向いた。
ついさっきまで、誰もいなかったはずのまっすぐな廊下。
その一番突き当りに、拳銃を構えた沖矢昴がいた。
沖矢が狙いを外す気だったわけではない。
一瞬早く、キッドがよけてAのスマホを犠牲にしたのだ。
しかし、それはまるで偶然だったかのようにキッドは慌てた調子で手を挙げる。
「あなたはもう少し、紳士的な方だと思っていましたが――。
そうでもなかったようですね。認識を改めなければならないようです。
今回犠牲になったのが、彼女のスマホですんで何よりです。
ああ、お探しのお嬢様ならこちらで休まれていますよ? おしゃべりを楽しんでいたのですが、眠ってしまわれました。怪盗とのおしゃべりでは少し退屈だったのかもしれませんね。
そうそう。ご本人にも伝えていますが、起きたら必ずこちらの水を飲ませてあげてくださいよ。でないと、自白剤の効果が長引くかもしれません――」
先ほど見せた、慌てた様子は見せかけか。
キッドは、高級レストランでウエイターが客に今日のメニューを紹介するかのごとく、何一つ感情を見せずに丁寧な口調で、滔々と状況を説明する。
call a spade a spade3ーthird person―→←call a spade a spade1ーthird person―
81人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時