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痕跡8―赤井side― ページ29
「ジョディ、あれをめくってみてくれないか?」
駐車場の端にそっと止められていた車には、銀色のシートが掛けられていた。俺が触れるのはやめておいた方がいいだろう。
手袋を付けたジョディがシートをめくるのを見守る。
事故の痕跡そのままが出てきた。車のへこみはひどくないが、黒く変わった血痕が無遠慮に飛び散っている――
「これって……」
そう、これが問題の轢き逃げ車兼麻薬運搬車。
運び屋である犯人たちは、どんな高級なブツを運んでいるかなんて知らないから、どこにも埋めなかった。
ただただ、轢き逃げの事実から逃げたかっただけ。
黒幕の失態は、「車がどこにあるのか」聞き出さずに彼らを殺してしまったことにあるだろう。あるいは、山に埋めたというミスリードを起こす何かしらの要因があったのだろうか。
――まあ、そんなことはこちらには無関係だ。
そのとき、またスマホが震えた。
差出人はボウヤ。でも、今回は件名も本文も何一つない。
いつものボウヤの余裕を微塵も感じさせない真っ白な空メールに、嫌な予感がぞわりと背中を這い上がる。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時