call4―赤井side― ページ21
この仮説が正しく、轢き逃げ犯が「自分が逃げること」以外何も考えていなかったのなら、車だって恐怖に任せその辺に乗り捨てていたとしても不思議ではない。
わざわざ山中に埋めに行く方がずっと手間だ。いや、違法廃棄物への監視が厳しくなっている今、無謀と言ってもいいだろう。
目ぼしい場所を次々掘り返しても出てこないとなると――そもそも埋めていないと考えた方が良いのかもしれない。
遺体が山中から見つかったことに気を取られすぎたのは失敗だった。
――犯人が何も考えていない場合、探偵の推理などろくに役に立たない。いや、むしろ遠回りになることすらあるのではないだろうか――
不意にそんな仮説が浮かび、苦笑せずにはいられなかった。ぜひとも、ボウヤの意見を聞いてみたいところではある。
「シュウ、二人の男たちの情報ってそんなに目ぼしいものはないわ。
フリーターっていうか、本当ふらふらしていたみたい。
友達周りからもあんまり有効な話は出てきてないわねー。
どうして殺害されたのか、見当もつかないって感じよ。
実家は、 一人は北海道、もう一人は東京の郊外ね。とはいっても、どちらも、家族とはすっかり縁を切っていたみたいで、聞き込みをしたものの空振りだったと出ているわ」
「なるほどな――。まずはその東京郊外の実家とやらに行ってみよう」
「行くの? 今から? 何も聞き出せなかったっていうのに?」
「関係者が皆、事情を知っているとは限らんよ」
歩き出した俺を、二人が慌てて追いかけてくる。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時