call1―赤井side― ページ18
「もしもし」
不安そうな声音は、確かに事故よりも前のものだ。
「Aさん、そろそろ、怪盗は捕まりましたか?」
俺は気づかないふりで問う。沖矢昴の声で。
「まだ何も始まってないわ。ご心配なく――」
それより、とAが口を開く前にこちらが問う。
「実は今、ちょっと仕事の最中でして。急な依頼を受けて、とある『探し物』をしているのですが、なかなか見つからなくて困っているんです。他の人も探しているので、できるだけ早く私が見つけたいのですが――」
記憶が戻ったのであれば、きっと話を聞いてくれるはず。
Aは思いのほか、謎解きが好きだ。
「何を探しているの? 誰かのなくした大切なもの?」
ほら、もうそちらに気を取られた。
「そうですね。今回の場合、しいて言えば、ある人にとってゴミだと思って捨てたものが他の誰かにとっては実はものすごく大切なものだった――というパターンです」
「捨てた本人には聞けないの?」
「ええ、残念ながら――。ちょっと困難です」
一応無残に殺害された無職青年たちの線からも探りをもらっているが、そんなにすぐに朗報が届けられることはないだろう。
「私だったらゴミは、その辺にポイって棄てるかな。だって、いらないものを捨てるのに、隠す必要なんてないじゃない?」
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時