検索窓
今日:17 hit、昨日:49 hit、合計:38,965 hit

記憶の扉 ページ14

『そう。
 だから、あなたの存在は、秘密にしないといけなかったの。
 最初から双子であることが知られていたら、マジックにならないじゃない?』

頭の中で昏い声が響く。
あれは、誰の声だったのか――



マジシャンの両親は、双子の妹であった私の存在をはじめから抹消していたのだ。


――マジックで観客を驚かせるために。マジックの精度をあげるために。ただそれだけのために、私の存在を隠匿した――


私は実家とは離れた場所にある祖母の家で育った。
幸い祖母は元学校の先生だったので、教育は十分に受けられたと思う。

とはいえ

だから、学校に行ってない。
だから、友達なんていない。
だから、私には苗字なんてない。

幼馴染もいない、同僚もいない。

働く方法なんて知らなかったから。
祖母の遺産として、お金だけはたくさんあったから生活には困らなかったけれど――



思い出したくなかった、秘密の扉をどうして私は自分でこじ開けてしまったのだろう――。


両親と双子の姉とはもうずいぶん長い間音信不通だ。



「どうかしたの? Aさん」

突然言葉を止めてしまった私を、心配そうにコナン君が覗き込んできた。

「あ、ううん。
 マジシャンだったら、最初に見せる手札は観客の目をごまかすためのまやかしであるべきでしょ?
 だから、予告状が事実とは限らなくてもいいのに――って思っただけ。

 まあ、キッドの場合は、マジシャンじゃなくて怪盗としての美意識ってところなのかもしれないわね」

「怪盗とマジシャン、悪くねー組み合わせだけどそれはやっぱり夢見すぎなんじゃないかな?」

新一君が肩をすくめる。

「まあ、安直すぎたかもね」

私は無理やり笑ってみせて、話を終わらせる。


タイミングよく、スマホが震えたのでそれを握って部屋を飛び出した。

痕跡3―赤井side―→←ビッグジュエル5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
81人がお気に入り
設定タグ:怪盗キッド , 名探偵コナン , 沖矢昴   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。