ビッグジュエル3 ページ11
コナン君はため息をついた。そうして、いかにも子供っぽい声を出す。
「新一にーちゃんがいてくれないと、僕が一人で怪盗キッドなんて捕まえられるわけないじゃない?」
「それもそっか……」
ぽりぽりと頭をかいて新一君は立ち止まり、まっすぐな瞳で蘭さんを見つめた。
「どうする?蘭。
俺はどっちでも構わないよ? 蘭に従う」
全く焦りのないのんびりした口調は、彼が本物の工藤新一だからなのだろうか。
それとも、怪盗としての余裕――?
「――わかったわ。じゃあ、一緒に宝石を見に行こう」
ぎゅっと腕を組んだのは、恋人同士である証なのかそれとも――キッドだった場合に自分の手から離さないという決意の証だろうか。
コナン君は難しい顔で二人の背中を見つめていた。
大好きなお姉さんの恋人が現れて複雑な心境――といったところだろうか。
私たちはそのまま、裏口から会場内に入る。
「挨拶がおくれてすみません、初めまして、工藤です」
2人の背中を見ていた私に、不意に振り向いて新一君が頭を下げた。
「あ、いえ――。Aです、どうも初めまして」
「Aさん、素敵なお名前ですね。
そうそう。ここで僕に会ったことは秘密にしておいてくださいね」
し、と指を立てて茶目っ気たっぷりに笑って見せた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時