ビッグジュエル1 ページ9
美術館は昨日とは打って変わって大盛況だった。長蛇の列が並んでいる。
関係者用の駐車場に車を止めた。
「当日券、そんなにあるの?」
目を丸くする私に園子さんが胸を張る。
「宝石の展示を丸ごと特別室に移したの。
そこは入り口も違うから、当日券でさばけるわ」
「え? あんなに準備していたのに宝石の場所変えたの?」
蘭さんが目を丸くするのも無理はない。
「だよねー。ほんっと、キッドキラーのおかげでスタッフは徹夜よ?」
「仕方ねーだろ!警察に混ざってキッドが下見にやってきてしまったんなら、その警備にはもう意味なんてねー……って、新一にーちゃんが言ってたよ!」
コナン君、途中であからさまに口調を変えたけど、――本当にそれ「新一にーちゃん」が言っていたのか、私は少し怪しく思う。
でも、蘭さんは違う。
「ほんっと、どうして新一はいつもいつも――コナン君にだけ連絡するかな――」
「あ、いや……だからね。えっと……。蘭ねーちゃんにもよろしくって言ってたよ、うん。本当は電話したいんだけど忙しいから――って」
慌てて付け加えるコナン君。
蘭さんは車から先に降りた。
「でしょうね。あいつはほんっと事件のことしか頭にないんだから――」
ぶつぶつ言っている彼女の前に
「よ、蘭! 何そんなに怒ってんだよ」
と笑顔を見せた高校生の男の子。
「新一君?」「新一?」「新一にーちゃん?」
園子さん、蘭さん、コナン君の声がかぶる。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時