バーベキュー8 ページ6
それは本当に、今まで食べたどんな料理よりもおいしくて私は思わず目を瞠る。
「ほんっと、美味しい。
元太君が独り占めしたくなるのもわかるわ」
気づけば言葉がこぼれていた。
「だろー!ほんっとうまいよな」
「元太は何食ったってうまいしか言わないじゃねーか」
コナン君が軽口をたたく。
笑っている私を見て、ほっとしているようにも見えた。
「そんなことねーぞ!うな重とかカレーとかアイスとか……。
いや、まあ、そんなことあるか」
わいわいとにぎやかなバーベキューは、私にとって本当に、充実した楽しいひと時になった。
「コナン君ー!迎えに来たよ?」
バーベキューの片づけを済ませ、ひと段落付いたころ蘭さんが顔をのぞかせた。
私は哀ちゃんからメイク道具を借りて、涙で落ちたメイクを整えなおした後だった。
それにしても小学1年生でこんなにメイク道具そろえているなんて、ほんっと末恐ろしい――。
いやいや、哀ちゃんありがとうございます。
蘭さんが乗っているのは、鈴木財閥からの迎えの車だというから、キッドキラーのVIP待遇は素晴らしい。
「蘭さん、こんにちは。
今日もお邪魔することになっちゃった、ごめんなさいね」
「あ――Aさん。
いえ、そんなこと――」
全然、と、笑う蘭さんがどこか強張って見える。
だからコナン君が無邪気に「待ってたよー、蘭ねーちゃん」と駆けよっていく様子には心底ほっとした。
コナン君を見つめる哀ちゃんが、とても小学生とは思えないシニカルな笑いを浮かべているのは、気にしないことにしておこう。
私は「えー、ずるーい!私(僕・俺)たちも一緒に乗りたーい!」という子供たちに手を振って阿笠邸を後にした。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時