Show Time6―赤井side― ページ48
どうやら、Aは自分が話した相手が園子ではなくキッドであることに気づいたらしい。
俺は、外に駆け出すAを追いかけることはしなかった。
今更外に出たところで、キッドはおそらく手の届くところにはいないだろう。
例えば――そうだな。隣のビルからこちらを見下ろしているのではないだろうか。
目立ちたがり屋の怪盗にはぴったりの舞台。
俺は車に向かい載せておいたライフルを手に取った。
観客の視線、ビルの高さ、キッドが向かうであろう方向、ライフルを持って移動しても目立たない場所とルート――
観客からはできれば、射撃したことを知られたくはない。
頭の中で素早く、計算を行う。
おそらく、ボウヤに気を取られている怪盗が俺の存在に気づくことはないだろう――
そう考え、人の少ない場所を見つけライフルを構えると、スコープ越しにキッドを見た。
「よぉ、名探偵。ようやくお目覚めか?」
ボウヤのいる方向を見て、彼の唇が楽しそうにそう動いた後――キッドは間違いなく鋭い視線をこちらに投げた。
胸にまっすぐ赤いレーザーが届いていることに気付いているというのに、不敵な視線を逸らすこともなければ、悪びれた風もない。
「見逃してくれるなら、秘密は全てお返しします」
早口ではあるが、確かに唇がそう動いた。
しい、と、唇の前に人差し指を立て余裕たっぷりにハングライダーで飛んでいく怪盗に向かって、引き金を引くことはできなかった。
諦めて、キャメルに電話をかける。ここに俺の車を届け代わりにFBIの車を回収してくれるよう依頼した。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時