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米花百貨店にて4 ページ35

そうじゃなければわざわざ私に「ここは危ないから出て行って」なんて警告をする理由もない。

――でも、「危ない」っていうのはこの爆弾騒ぎのことなんだろうか。

私は無意識のうちにぎゅうと沖矢さんの腕を掴んでいた。

「どうしました?」

彼はスマホを手にしていたが、私に視線を落とす。

「――助けてあげて」

「ええ、もとよりそのつもりです」

そういうと沖矢さんはスマホをしまい、踵を返して歩き出したので私は慌ててついていく。

「では、ここの推理は【彼】に任せましょう」

「彼って誰? コナン君?」

いくらなんでも、あそこで腕組みをし続けて悩み続けている毛利探偵ではないだろう、多分。

「あなたが助けてあげたい人ですよ。Fakeと呼べばいいですか? 今、私が毛利探偵にメールを打とうかと思いましたが彼が既に入力中でしたので、任せて私たちは別のことを確認しましょう」

「ここにいるの?(Fake)

私の身長では人ごみに紛れて見えないが、沖矢さんの背の高さなら目に入るんだろう。

沖矢さんは、何故かこのタイミングで同じフロアの飲食店に入っていく。
店の外で待っていると、ほどなくして出てきた。

「想像通りでした。さて、後はどうやって助けるか……」

何を見たのかわからないけれど、沖矢さんは1人、思案を始めた。

「ジョディのことも助けてあげてよね? 今日もすごい勢いでFakeに関する情報を追いかけていたし……」

「ええ、もちろん。
 ここのフロアが解放されるまでは問題ないでしょうし、解放されたらすぐに何とかしましょう」

沖矢さんの頭の中ではもう、このフロアで起きている爆弾事件はとっくに解決済みのようだ。

そうして、偽物の赤井秀一の件もおそらく彼のシミュレーション上は、無事に片が付いたんだろう。


ふわりと雰囲気が切り替わる。

それは以前、ホテルのレストランで殺人事件に遭遇した時に、1人さっさと事件を解決して気持ちを切り替えたときに酷似していた。
 
「ところで……Aさんはどうして突然【Fakeの正体】に気づいたんですか? 絶対に偽物だから近づかないようにって、何度も言いましたよね?」

――ドキっ

やば……っ

「えっと……いや、もしかしたらっていうか。ほら、銀行強盗の後、彼、一度家に帰ってきたんだけど、昨日の夜から不在だし、もしかしたらって思っただけで、そっか、正解なんだ、びっくり!」

ほぼ、棒読みにしかなっていない私の言葉に、はぁ、と沖矢さんはため息をつく。

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まつり(プロフ) - おさょさん» ありがとうございますー!スパダリいいですよね。 (2022年10月15日 15時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
おさょ(プロフ) - スパダリ最高です!ありがとうございます0(:3 )〜 ('、3_ヽ)_ (2022年10月15日 15時) (レス) @page3 id: ab6fcf8d72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつり | 作成日時:2022年10月14日 21時

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