有給休暇の過ごし方17 ページ31
「なるほど……。ホームズ好きな人が喜ぶロンドン土産か……」
そんなわけで、私は今
正確には、迷った末沖矢さんの電話にかけてみたらシュウの声と口調で出てきたというだけで、彼が今どんな姿なのかはわからない。
他にロンドンに住んだことのあるシャーロキアンの知り合いなんていないし。
あれがいいんじゃないか、これがいいんじゃないかとすすめてくれたものをメモした。
「ありがとう。きっと蘭ちゃん喜ぶと思う!」
「役に立てたなら何よりだ。明日は何をする予定なんだ?」
私は、蘭ちゃんの買い物に付き合う予定だったけどその前に事件の依頼がはいってきたから、その謎を解くために一緒に米花百貨店に行くことを伝えた。
楽しんでおいでといった後、
「君は何か思い違いをしている」とシュウが言うのでびっくりした。
「え? シャーロキアンじゃなかった?」
「それは正解だ。そこじゃない。
人が困っているときにしか俺に電話してこないじゃないか。
もっと――何の用もなくても電話をくれていいのに。対応が無理な時は出ないから、心配しなくていい」
――とか突然いうから、泣くところだったじゃん。
「――沖矢さん、だめですよ。そんなこと言ったら、電話が切れなくなるじゃないですか――」
なんのためにわざわざ、この回線に電話しているのかわかってほしい。
シュウだと思ったら何もかも話したくなるからじゃん。零が無事に帰ってきたこととか、鳩のおまけの正体についてとか、話したいことは山ほどあるよ、本当は。
私はこみ上げてきた感情をごくりと胸深くに飲み込んだ。
「そっか。気づかなかった。うん、ありがとう。今度は声を聴くためだけに電話するね」
ほんっとにもう。
涙でメモが滲んだら、二度手間になるんだからね?
――声が涙で歪みそうになった私は、シュウの言葉を聞かずに、電話を切るほかなかった。
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まつり(プロフ) - おさょさん» ありがとうございますー!スパダリいいですよね。 (2022年10月15日 15時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
おさょ(プロフ) - スパダリ最高です!ありがとうございます0(:3 )〜 ('、3_ヽ)_ (2022年10月15日 15時) (レス) @page3 id: ab6fcf8d72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2022年10月14日 21時