溺愛中！6【降谷零/安室透】【沖矢昴/赤井秀一】

有給休暇の過ごし方16 ページ30

零に腕時計をプレゼントすることに成功した私は、嬉しくて仕方がなかった。

そっか。自分がプレゼントしたものを恋人が付けていてくれるのってこんなに嬉しいんだ。

「絶対、仕事中も外しちゃダメだよ？」

「可能な限り」

「水仕事の時は――外してもいいけど」

なんとなく公安での仕事を想定していったんだけど、そういえばポアロも彼の仕事だったと思いなおし、小さくそう付け加えると「Aには気を遣わせてばかりだな、申し訳ないと思っている」と耳元で小さく言い、零はくしゃりと私の頭を撫でた。

「いいよ、その程度で零とこうやってデートできるなら、全然気にしない」

こうして、日中堂々と好きな人の手を掴んでぎゅうと腕を組んで頬を寄せることが許されるなら、他のことは全て些細なことだと、私は本気で思っている。



.


零と離れて、毛利邸に行ったのは夕方だった。

「明日、どうしても米花百貨店に行かないといけなくなったんだけど、それでもいい？」と蘭ちゃんが少し困った顔で聞いてきた。

「買い物できるならどこでもいいよ？ 米花百貨店で全部揃うんじゃない？」

「それがね、その前にちょっと厄介な事件がお父さんのところに入り込んできて……」

毛利探偵は、毎週送られてくる赤い長そでシャツの謎を解いて欲しいという依頼を受けたという。

――世の中にはいろいろな事件があるのね。

「じゃあ、事件が解決すれば自由に買い物できるんだよね？ もちろん、一緒に付き合うわ。殺人事件ってわけでもなさそうだし」

「良かった！ あのね、ロンドンの気候とかはだいたい世良ちゃんから聞いたんだけど、それよりも相談に乗ってほしいことがあって――」

ホームズオタクが喜ぶ、ロンドン土産ってなんだろう？ 検索すればするほどわからなくなるんだよね……。サッカーも好きだし、悩んじゃう！

と、蘭ちゃんはさっそく本題に入る。

なるほど、新一君へのお土産選びか――！



あれこれと候補を広げて、頭を悩ませている蘭ちゃんはとても可愛くて、どんなお土産よりもその姿が一番、新一君を喜ばせるんじゃないかと思ったりもした。

有給休暇の過ごし方17→←有給休暇の過ごし方15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す