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有給休暇の過ごし方13 ページ27

「それは本当に特別だな、光栄だ」

私は腕の中を抜け出して、零の膝の上に横向きに座りぎゅうと、一見華奢に見えて触れるとがっしりしている大きな体に抱き着いた。

「でも、零がちゃんと戻ってきてくれるって言うなら、いつまでも待っておくから安心して――万が一、シュウが戻ってこない限りは」

私の唇から落ちる事実の欠片を零はどう捉えたのだろう。

秘密を暴露したせいかいつもよりずっと穏やかな顔をした零は瞳を細めて微笑むと、散々長い話をした唇で私の唇を塞ぐ。

「本当、死んだあとまで厄介な奴だ」

「そうだね。おかげで少しは喪失感が埋められたんじゃない?」

訃報を聞いた直後よりはずっと、零が生き生きして見える。

「誰が、あいつの死ごときに喪失感なんて抱くものか――」

うそぶく零が愛おしくて、私は彼の頭を撫でる。

零がやっと秘密を明かしてくれたのに、赤井秀一が自ら生存を明かさない限り、私はもう零に嘘をつくことしか出来ない。

でも、まあ、穏やかな零を見ていられるならそのくらい大した問題じゃない。

「零、今夜のご飯は何? 一緒に作ろう? この間蘭ちゃんの家で料理してあげたの。零のおかげでちゃんと作れてよかった。だからまた別の料理を教えて?」

「それはよかった。じゃあ、次は何にする? Aは慣れてないだけだから、やってみればきっとすぐに作れるようになる」

零の腕の中はびっくりするくらい居心地がいい。


不意に零の指先が私の右手の薬指についている指輪に触れた。

「明日――土曜日だけど午前中は時間があるんだ、良かったら指輪を買わせてくれないか?」

零は私が付けているアクセサリーに反応したことがないので驚いた。

「もちろん、嬉しい。私からも零にもプレゼントしてもいい? 外では無理だとしても、せめて家にいる時だけでも。それとももっと実用的なものがいいかな? 財布とか、時計とか?」


これはシュウからの生前のプレゼントだと伝えた方がいいんだろうか――と思ったが、縁起でもないのでやめておいた。

指輪を買った後、受け取るまでにシュウは消えてしまった。口にしたら今度は零も消えてしまいそうで、怖い。


たとえ本当は生きているとしても、逢えなくなっては意味がない。


「一方的に僕から渡すだけでは不服なんだ? 別にいいのに」と、零はくすくす笑う。

「不服。あと、今度こそ通帳記帳したいからどこかに連れて行って?」と私は頼んだ。

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まつり(プロフ) - おさょさん» ありがとうございますー!スパダリいいですよね。 (2022年10月15日 15時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
おさょ(プロフ) - スパダリ最高です!ありがとうございます0(:3 )〜 ('、3_ヽ)_ (2022年10月15日 15時) (レス) @page3 id: ab6fcf8d72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつり | 作成日時:2022年10月14日 21時

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